経済界訪中団 李強首相と会談 水産物輸入停止の撤廃提言

中国・北京を4年ぶりに訪問中の日中経済協会や経団連、日本商工会議所など経済界の代表団は1月25日、中国の李強首相と会談した。代表団は中国に対し、東京電力の福島第1原発処理水の海洋放出に伴う日本産水産物のの輸入停止措置の撤廃や、取り締まりを強化した改正反スパイ法の透明性ある運用を求める提言書を提示。米国と中国の対立が世界を分断に導いているとし、関係改善に取り組むよう促した。これに対し中国の李氏は「現在は日中の未来を切り開く重要な時期だ。協力を推進することが重要だ」と述べた。

UAE・ドバイで初の「日本・京都」企業展 協業を訴求

アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイの世界貿易センターで1月22日、京都府などが主催する初めての企業展示会「日本・京都展」が開幕した。24日まで。同展には京都に拠点を置く企業を中心に約100社が参加している。会期中、中東の現地企業や投資家に対し、協業や出資を呼び掛けた。

日本支援インド最長 海上道路開通, ムンバイ湾両岸つなぐ

日本政府がJICA(国際協力機構)を通じて支援したインド西部マハラシュトラ州ムンバイ湾に架かる同国内最長の海上道路が1月12日、開通した。同日、鈴木浩駐インド日本国特命全権大使、同国モディ首相ら臨席のもと開通式が執り行われた。
全長21.8kmで、総工費2,120億ルピー(約3,816億円)のうち約70%はJICAによる円借款で支援された。この工事はIHIグループのIHIインフラシステムズ(所在地:大阪府堺市)が、インドのゼネコン最大手のLarsen&Toubro Limited(L&T)社とのコンソーシアムで建設を進めていた。
今回の海上交通の開通により、これまで約2時間要していたムンバイ市と対岸のナビムンバイ市の移動時間が約20分に短縮され、両市の接続性が大幅に向上し、ムンバイ都市圏のさらなる成長につながるとみられる。

タイ政府 日本へボランティア派遣 山梨・北杜市で任命式

タイ政府は、海外からの観光客の誘致を進める日本の自治体を支援しようと、タイ人の若者をボランティアとして派遣する取り組みを本格的に始め1月15日、受け入れ先となる山梨県北杜市役所で任命式が行われた。ボランティアを派遣するのはタイ外務省国際協力機構で、日本のJICA(国際協力機構)が実施する海外協力隊をモデルにつくられた国際協力枠組みを活用する。
任命式ではタイ人のアンチャリーポン・パリサウォンさん(30)に、上村英司市長から任命書が手渡された。派遣期間は1年間で、観光コーディネーターとして北杜市の魅力をSNSで発信したり、タイ国内の観光イベントでPRしたりするなど、タイ人観光客の誘致に取り組むという。北杜市観光課では「タイ人目線での情報発信で、市の認知度が向上することを願っている」と話している。

アジアの脱炭素を主導 司令塔創設 AZEC首脳会議初会合

日本政府は12月18日、ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国とオーストラリアを加えた脱炭素の連携枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC=エーゼック)」首脳会議を首相官邸で初開催した。脱炭素、経済成長、エネルギー安全保障を同時に実現するための基本原則を確認。岸田首相は各国の政策を日本主導で支援する司令塔組織を創設すると表明した。
同会議にはASEAN各国首脳、オーストラリアからヘイハースト駐日大使が参加した。初の共同声明を発表し、各国の状況に応じ、多様で現実的な道筋によって脱炭素化を進める原則を示した。

日ASEAN 人材交流新ステージで”深化”10年で1,000万人超

岸田首相は12月16日、日本とASEAN(東南アジア諸国連合)の次の友好・協力50年に向け、関係を新たなステージに深化させるべく、人材交流について新たなプログラムを立ち上げると表明した。今後10年で1,000万人以上を対象にした「次世代共創パートナーシップ」を創設する。若年層の往来を活発にし、関係底上げにつなげる。

日本・ASEAN友好50年「未来を共創」特別首脳会議

日本とASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国首脳らは12月17日開いた特別首脳会議で、友好協力50周年を機に関係を再構築、地域の経済と社会をともにつくりあげる「共創」を打ち出し、これまでの「支援・被支援」の関係を改め、新たな50年の未来づくりを対等な立場で協力することで一致した。

日ASEAN 中国念頭に海洋安保, 経済で協力 共同声明採択

日本とASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国の首脳らは12月17日、東京都内で開いた特別首脳介護で海洋を含む安全保障協力の強化を盛り込んだ共同声明を採択した。軍事、経済両面で覇権主義的な行動を強める中国を念頭に置いたもの。
岸田首相は「世界が複合的な危機に直面する中、日本は”自由で開かれたインド太平洋”の要であるASEANとともに立ち向かう」と強調した。そして、今後5年間で官民合わせて350億ドル(約4兆9,000億円)以上の資金が行き渡るよう民間投資を後押しすると表明した。

ITU 原則35年までに「うるう秒」廃止決議案を採択

アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで開催中の国連の専門機関・国連電気通信連合(ITU)の会議は12月11日、1日の長さに1秒を加える「うるう秒」を、原則2035年までに廃止するとした決議案を採択した。2040年まで延長可能とする猶予を設けるほか、ずれの上限を現在の0.9秒以内から「短くとも100秒」に延ばすべきだとした。
これはうるう秒を追加するたびに、コンピューターなどでシステム障害が発生するリスクが高まるためで、ITUが廃止を検討してきた。うるう秒は、ずれを0.9秒以内に補正するため1972年に導入され、過去に計27回、世界一斉に実施された。

COP28「化石燃料からの脱却」で合意 再生エネ3倍に

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで行われていた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が、予定されていた会期を1日延長して12月13日、閉幕した。焦点となっていた温暖化の主な原因の一つとされる化石燃料について、共同声明に盛り込むことは欧米先進国や産油国の事情や思惑が錯綜することから、合意が極めて難しいと判断された。事実、会期末時点で白紙に戻りそうな状況もあったという。
しかし、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標の達成に向け、2030年までに対策を加速し、「化石燃料から脱却する」の表現で合意、採択された。化石燃料を減らすことが、COPの合意文書の中に盛り込まれるのは初めて。また、2030年までに再生可能エネルギーを3倍にすることも明記された。