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土地収用が難航、大型インフラ開発に立ちはだかる”障害”

 インドネシアで政府や企業による土地収用が難航、発電所など大型のインフラ開発が遅れる例が相次いでいる。Jパワーや伊藤忠商事が共同で計画する中部ジャワ州の40億㌦(3200億円)規模の発電事業は、土地収用の手続きが終わらないため、開始が1年ほど遅れる見通しだ。
 ジャカルタ郊外にあるスカルノ・ハッタ国際空港と住宅地を結ぶ6兆ルピア(約500億円)規模の高速道路の建設計画でも、土地収用が問題化。完成すれば渋滞解消につながると期待されるものの、住民は政府提案の約7倍の補償金を求め、交渉は難航している。
 ジャカルタに次ぐ第2の都市・スラバヤと工業団地があるモジョケルトを結ぶ約36㌔㍍の高速道路も13年から14年以降に遅れる見通し。9月には住民が政府提案の3倍の補償金を求め、すでに開通している区間を封鎖する騒ぎが起きている。
 とはいえ、インドネシアは14年に大統領・国会選を控えており、当局が住民の不満や不興を買いかねない土地収用を、強引には進めにくい事情がある。

貿易エキスポの成約額は昨年の2倍超に さらに上積みも

 10月17~21日にかけて商業省が主催した貿易エキスポの確定成約額が、昨年の2倍を超える10億㌦(約7960億円)に達した。継続して国営建設会社が南アフリカと周辺諸国で政府系の建物など建設する20億㌦規模の大型案件について、最終協議が進められており、結果次第では今回の目標の20億㌦を上回る可能性もある。バユ・クリスナムルティ商業副大臣が明らかにした。
 エキスポには世界95カ国から5430人の輸入業者が参加し、当初の目標1500人を大幅に上回った。輸入業者の国別参加人数はナイジェリア11.27%、マレーシア6.10%、インドおよび米国が4.11%だった。

バンテンとロンボクを観光・経済特区に

 インドネシア経営者協会(アピンド)事務次長によると、政府はバンテン州タンジュン・ルスンと西ヌサトゥンガラ州ロンボク島マンダリカを、観光業向けの経済特区に定める方針で調整を進めている。経済特区が両地区に設置されれば、外国からの投資が増加し、観光業が発展する-とアピンドは見込む。観光産業協会会長は、観光への投資がジャワやバリだけでなく、ほかの地域にも波及している現状を指摘。地域間の接続などインフラ整備にも効果が及んでいると強調している。
 投資調整庁(BKPM)によると、1~9月の観光産業への外国直接投資は、前年通年と比べて2.8倍の6兆9000億ルピアになっている。

歳入1529兆ルピア,歳出1683兆ルピア 来年の国家予算承認

 歳入1529兆ルピア(約12兆7000億円)、歳出1683兆ルピア(約14兆円)の来年の国家予算が国会で可決、承認された。インフラ整備などの資本支出は、8月の大統領案から11%、今年の予算から23%増と大幅に引き上げられたが、総額は216兆ルピアで、国内総生産(GDP)比では2%にとどまっている。
 エネルギー向けの補助金は274兆7000億ルピアで、歳出に占める割合は16.3%となった。内訳は燃料向けが193兆8000億ルピア、電力向けが80兆9000億ルピア、非エネルギー向けは42兆4000億ルピア。電力については、来年1月から料金を段階的に15%引き上げることが決定しており、削減した11兆8000億ルピアをインフラ向けに割り当てる方針だ。

日本の経産省が「医療」でインドネシア支援

 日本の経済産業省は、医療機器やサービスなど「医療」の分野で企業の海外展開を後押しする。現在計画されているのはインドネシアなど約10カ国で、現地政府の高官に企業の幹部を引き合わせたり、民間の派遣団をまとめたりする。現地で助言できる医師も送り、研修会などを開く。
 インドネシアでは生活習慣病の患者が増えているが、治療できる病院が足りない。伊藤忠商事やシステム科学コンサルタンツは医療機器の輸出や人材育成を手掛ける方針だ。
 インドネシアでは、国民の約4割が医療保険に入っていない。経産省は同じ職場や地域に住む人が病気やけが、交通事故に備え合う共済保険の紹介も検討している。

第3四半期の外国投資は過去最高 3期連続で記録更新

 投資調整庁(BKPM)が発表した今年第3四半期の内外投資統計によると、総投資額は前年同期比25.1%増の81兆8000億ルピアだった。このうち外国からの投資額はルピア換算で同22.0%増の56兆6000億ルピア(約4696億円)に増加し、過去最高を3期連続で更新した。基礎化学(前年比17.6%増)、鉱業(同16.8%増)、運輸・通信(同12.8%増)の伸びが目立った。また、国内投資は同32.6%増の25兆2000億ルピア。
 1~9月の総投資額は229兆9000億ルピア、このうち国内投資は65兆7000億ルピア、外国投資は164兆2000億ルピアだった。
 国別ではシンガポールが約15億㌦で1位。日本と英国が約7億㌦、台湾とモーリシャスが約6億㌦と続いた。日本は第2四半期の4位から順位を上げた。

日・イ政府が事業総額3.4兆円のMPA計画を承認

 日本、インドネシア両国政府は、ジャカルタと周辺地域のインフラ整備など両国の官民が推進してきた、首都圏投資促進特別地域(MPA)の第3回運営委員会をこのほど東京で開き、2020年までの事業試算総額約410兆ルピア(約3兆4000億円)のMPAマスタープランを承認した。
 今回承認されたマスタープランでは2020年までの完工を目指す「優先事業」が45件、2013年末までの着工を目指す「早期実施事業」が18件と明記。早期実施事業となっているジャカルタ都市高速鉄道(MRT=大量高速交通システム)建設、西ジャワ州カラワン県チラマヤ新国際港建設など5件を、両国の官民が連携して取り組むMPAの事業の象徴的事業と位置付けている。
 日本政府は発展途上の新興国に対し、計画段階から建設、運営・管理を一括して輸出する「パッケージ型インフラ輸出」を成長戦略の柱として掲げており、計画に携わった強みを生かしてMPAの各事業を日本企業が受注することで、パッケージ型インフラ輸出の先例にしたい考え。

インドネシアの鉄道電化 住商・三菱重工が210億円で受注

 住友商事は三菱重工と共同で、インドネシアの首都ジャカルタ近郊の幹線鉄道の電化・改修事業を総額約210億円で受注した。これは南ジャカルタのマンガライ駅から西ジャワ州ブカシ県のブカシ駅を経由して同県チカラン駅の約32㌔を結ぶ路線の電化・複々線化工事。鉄道網の基盤的な技術、信号システムはこれまで欧米大手が強く、日本式の輸出は今回が初のケース。完成予定は2016年末。日本勢によるインドネシアでの鉄道受注案件としては過去最大。官民一体の受注活動が奏功した。

アサハン・アルミ事業「契約更新せず」とイ工業相

 ジャカルタ・ポストなどの報道によると、日本を訪問中のインドネシアのヒダヤット工業相はこのほど、来年11月に満期を迎える、日本とインドネシアが共同で行っている北スマトラのアサハン・アルミ精錬事業の契約の更新をしないことを改めて日本側に伝えた。日本・インドネシアの協定では、1983年の生産開始から30年後の2013年に満了とし、インドネシア側が日本の出資分を買い取る権利を有している。日本側は、契約の継続を要望していた。インドネシア側は11月中に、日本側が所有する全株式の買収の手続きを完了させたい意向。買収に必要な金額は6億~7億㌦程度とみられる。

インドネシアの成長率6.0%を据え置く IMFが見通し

 国際通貨基金(IMF)はこのほど、最新の世界経済見通しを発表し、インドネシアの今年の経済成長率を6.0%、来年は6.3%と予測した。8月末に下方修正した数値を据え置いた。また、IMFはインドネシアのインフレ率は低く抑えられており、ローンの増加とともに不動産価格の上昇がみられると指摘。輸出は、世界経済の減速を受け、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムなど近隣諸国と同様、減少しているとしている。