IPEF14カ国 供給網協定で合意 脱中国依存へ先行・始動

米国・デトロイトで開かれていた、米国が主導する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の閣僚会合が5月27日(日本時間28日未明)、閉幕した。中国への依存度が高い重要鉱物などのサプライチェーン(供給網)を強化する協定に合意した。
IPEFには日米や東南アジア諸国など14カ国が参加しており、①貿易②サプライチェーン③エネルギー安全保障を含むクリーン経済④脱汚職など公正な経済ーの4分野で共通のルールづくりを目指して協議を進めている。

半導体の日米技術協力の深化へ行程表 担当相が会談, 共同声明

西村康稔経済産業相は5月26日(日本時間27日未明)、米国ミシガン州デトロイトで米国のレモンド商務長官と会談した。同日、共同声明を発表した。この中で両氏は「半導体サプライチェーンの強靭性を損なう生産の地理的集中を特定し、解決する」と強調し、経済安全保障に欠かせない半導体分野で技術協力を深める行程表を策定することを盛り込んでいる。

「透明で公平な債務再編が重要」日本・スリランカ首脳会談

岸田首相は5月25日、首相官邸でスリランカのウィクラマシンハ大統領と会談した。前政権時”債務の罠”にはめられ、経済危機に陥ったスリランカの債務問題をめぐり議論した。その結果、すべての債権国が参加する透明で公平な債務再編の重要性を確認した。ウィクラマシンハ氏は、11月までに債務再編に向けた協議が終了するとの見通しを表明した。

日本 ラオスの若手行政官の留学支援に3.43億円を無償資金協力

日本政府は、ラオスの将来を担う若手行政官を対象とした留学支援として、供与限度額3億4,300万円を無償資金協力する。ラオス政府は「第9次国家社会経済開発計画(2021〜2025年)」で人材開発を重点課題の一つとして設定し、課題解決に向けて取り組んでおり、今回の支援はこの取り組みに直接貢献するもの。
この支援策により、令和6年度に最大22名のラオスの若手行政官等が日本の大学院へ留学し、学位(修士・博士)を取得する。そして将来、両国の相互理解や友好関係の強化につながることが期待される

ウクライナに自衛隊車両100台提供, 負傷兵の治療 都内で受け入れ 

岸田首相は5月21日、広島市内でウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。この中で岸田氏は、日本独自の支援策を表明した。具体的には①100台規模のトラックなどの自衛隊車両の提供②約3万食の非常用食糧の提供③ウクライナの負傷兵を東京都内の自衛隊中央病院で受け入れて治療する④官民挙げてウクライナの復旧・復興を後押しする。
ゼレンスキー氏は、主要7カ国(G7)が表明したウクライナ支持を「一生忘れることはない」、そして「核兵器のもたらす被害の甚大さを再認識した」などと述べた。

ゼレンスキー大統領「被爆後の広島 バフムトと似ている」

ウクライナのゼレンスキー大統領は5月21日夜、前日の電撃的な来日、そしてG7サミット首脳や招待国首脳との分刻みの会談後の締めくくりに、広島市内で演説した。前日、G7首脳が同様に初めて訪れた広島平和記念資料館(原爆資料館)で見た被爆後の広島惨状に触れ、大要次の通り述べた。
①人類の歴史に戦争はあってはならない②破壊された広島の写真がバフムトと似ている③ウクライナの街も広島のように早く再建できることを夢見ている④戦後復興には日本の景観が必要ーなど。

「法の支配」最優先に新興・途上国へ働きかけ G7首脳宣言

広島で開催された主要7カ国(G7)サミットは5月20日、緊急初来日したウクライナのゼレンスキー大統領の広島到着前に首脳宣言を発表した。宣言では共通の価値観として「法の支配に基づく自由でほら枯れた国際秩序の維持・強化」を最優先に掲げ、ロシアや中国の覇権主義に対抗するための結束を打ち出した。また、G20の議長国のインドをはじめブラジル、インドネシア、ベトナム、韓国などの首脳をパートナーとして招き、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国への支援協力および働きかけを強めた。
G7首脳宣言の要旨は①国際法の重大な違反、ロシアによるウクライナ侵攻を残忍な侵略戦争で、全世界への脅威として改めて強い言葉で非難する②永続的な平和を取り戻すため、必要な限りウクライナに対し外交、財政、人道、軍事的な支援を強化する③「核兵器のない世界」という究極の目標へ核軍縮・不拡散の努力を強化する核拡散防止条約(NPT)は核軍縮・不拡散を追求するための基礎④法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋を支持し、一方的な現状変更の試みに反対する。東南アジア諸国連合(ASEAN)を含む地域のパートナーとの連携を強化する⑤産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えるパリ協定の責務を堅持。2050年までに温暖化ガス実質ゼロ、カーボンニュートラルを達成する目標は不変⑥グローバルに分野を横断して注目が集まる生成人工知能(AI)について、「信頼できるAIという共通の目標達成に向け、民主主義の価値観に沿って国際的討論を進める」⑦政治や経済、教育などの分野で、LGBTなど性的少数者や女性の意味のある参画を確保し、一貫してジェンダー平等に努力するーなど。

G7首脳 平和記念公園で原爆慰霊碑に献花 広島サミット

広島市で5月19日に開幕した先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、原爆資料館を見学した後、核兵器を保有する米・英・仏を含む参加国と欧州連合(EU)の首脳9人が平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に献花した。米国のバイデン大統領、英国のスナク首相、フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相、カナダのトルドー首相、イタリアのメローニ首相、EUのミシェル大統領、フォンデアライエン欧州委員長、そして岸田首相の9人が揃って原爆犠牲者たちを追悼する、被爆地にとって記録に残る歴史的な瞬間となった。まさに広島で開催されるサミットならではの光景だ。

IPEF 鉱物, 半導体の供給網強化 原料調達協力で経済安全保障強化

米国が主導する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の第4回目の交渉官会合が5月15日、シンガポールで閉幕した。今回は鉱物や半導体などのサプライチェーン(供給網)の強化についての議論などが行われた。例えばコバルト、ニッケル、リチウムはインドネシアなど東南アジアやオーストラリアなどに偏在する。こうした鉱物を各国が融通し合うことで、経済安全保障を強める。米国で27日に開かれる閣僚級会合で部分合意を目指す。