食料品高止まり、燃料値上げなどでインフレ加速の懸念

食料品高止まり、燃料値上げなどでインフレ加速の懸念
 牛肉をはじめ食料品価格が高止まりし、政府の輸入での対応にもかかわらず、先行きインフレ加速を懸念する見方が強まっている。8月1日に発表される7月のインフレ率は、6月22日から実施された燃料値上げの経済への影響を測る物差しになるだけに、大いに注目されるところ。政府は輸入や流通状況の監視強化を通じ、価格抑制を図っているが、レバラン(断食明け大祭)前の需要増や業者による価格調整などの不安要因もあり、予断を許さない状況だ。
 高騰する食料品の中でも目立つ牛肉を例にみると、今年はラマダン(断食月)前に首都圏で1㌔当たり7万ルピアだったが、現在は9万~10万ルピア台で推移。地方では10万ルピアを大きく上回っているところもあるという。この結果、牛肉価格は東南アジアの他国と比べ割高な水準となっている。こうした状況に対応、政府も輸入枠の撤廃や輸入業務の簡素化に動いている。ユドヨノ大統領も18日、閣議で関係閣僚に物価抑制を指示している。
 しかし、それでもインフレ加速の懸念は容易に払拭できていない。インドネシア中央銀行のアグス・マルトワルドヨ総裁は17日の会見で7月のインフレ率は前月比2.38%上回るが、今年のインフレ率は7.2~7.8%に抑えられると強気な見方を示した。だが、燃料値上げ、ルピア安による輸入品の値上がり、レバランの需要増が重なり、インフレ率押上げは避けられない情勢。それだけに、中銀総裁の思惑通りにインフレ率が収まらない可能性も指摘されている。現実に、ユドヨノ政権で燃料値上げを実施した2005年と08年はそれぞれ17.11%と11.06%と高いインフレ率を記録しているからだ。

首都圏の住宅需要は高値の戸建てから中価格帯のアパートへ

首都圏の住宅需要は高値の戸建てから中価格帯のアパートへ
 インドネシア首都圏の住宅需要が戸建てからアパートへ移行しつつある。これは、通勤圏内にある戸建て住宅の価格が高騰していることから、手の届かない高値の戸建てをあきらめ、中価格帯のアパートを求める人が増えているもので、不動産会社によると中価格帯アパートへの需要は急拡大しているという。
 米不動産大手クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)によると、第1四半期(1~3月)の分譲アパートの成約率は過去10年で最高の96%を記録。うち首都圏で販売された物件の6割近くが1平方㍍当たり1000万~1500万ルピア(約10万~14万9000円)の中価格帯だった。同社では、通勤圏内にある戸建て住宅に手が届かない消費者が多いため、今後も中価格帯中心にアパートの販売は拡大するとみている。

レバラン帰省客の飛行機利用者は過去最高の375万人予測

レバラン帰省客の飛行機利用者は過去最高の375万人予測
 インドネシア運輸省は8月9日ごろに迎えるレバラン(断食明け大祭)で、家族とともに休暇を過ごすため、飛行機を利用する帰省客は前年比11.7%増の375万人に上るとの予測を発表した。同省はスカルノハッタ空港や東ジャワ州スラバヤのジュアンダ空港の利用者は、平常時の約25%増と予測。鉄道やバスの陸上交通は前年比3.72%増の622万人だが、飛行機はその3倍以上の伸び率になるとの見立てだ。
 ジャカルタ特別州のウダル・プリストノ運輸局長は、首都から各地へ向かう帰省者数は前年比8.6%増の970万人に上ると推計している。近年のレバラン時の帰省者数は、2011年が710万人、12年が900万人と増加傾向にある。

スラバヤの地価高騰 毎年3割超 高層ビルの建設加速

スラバヤの地価高騰 毎年3割超 高層ビルの建設加速
 地元紙によると、インドネシアの第2の都市、東ジャワ州スラバヤの地価が高騰している。東部地域からの人口流入もあり、住宅開発を中心に土地の需要が伸びているためだ。不動産協会(REI)によると、上昇率は毎年3割を超えており、高層ビルの建設が加速しそうだ。REI東ジャワ州支部のエルランガ支部長によると、地価は1平方㍍当たり30万~2500万ルピア(約3000~25万3000円)で場所によってばらつきがある。
 不動産開発は戸建て住宅とアパートが中心で、オフィスビルも徐々に増えてきているという。地価の上昇で増えているのが高層アパートの建設。スラバヤ市民の7割以上が住宅地の中にある小規模なオフィスやルコ(住宅兼店舗)で働いているため、高層オフィスビルの開発はこれまでそれほど進んでいなかった。

野焼きの取り締まり規定は欠落 森林保護の新法案可決

野焼きの取り締まり規定は欠落 森林保護の新法案可決
 インドネシア国会は森林保護を強化する新たな法案「森林破壊防止・根絶に関する法案」を可決した。ただ、6月に近隣周辺国に深刻な煙害を与えた野焼きに対する取り締まり規定の欠落などを非難する声が出ている。地元紙によると、新法案は現行の関連法「1999年森林法第41号」を修正し、違法伐採など森林に関する犯罪取り締まりを強化するのが目的。禁固刑を最大10年から15年に引き上げるほか、違法伐採で得た資金を使用した者に対する罰金額を1000億ルピア(約10億円)に設定している。
 こうした一方で、法案の不備を唱える声が上がっている。99年制定の現行法で盛り込まれている森林火災に関する罰則が欠落しているためだ。6月にシンガポール、マレーシア両国に深刻な煙害を与えた野焼きはまだ記憶に新しいが、なぜかこの取り締まりに関する罰則・規定が盛り込まれていないのは作為的で不可思議という他ない。

パプア州のボクシング競技場で判定巡り乱闘 18人死亡

パプア州のボクシング競技場で判定巡り乱闘 18人死亡
 インドネシア東部・パプア州のボクシング競技場で7月14日、試合結果を巡って、判定に不満を持った観客の間で乱闘が発生。競技場から逃げようとした観客が出口に殺到し、折り重なるように倒れ、ロイターによると女性12人を含む少なくとも18人が死亡、子供9人を含む39人がケガをした。地元メディアによると、同競技場の収容人数は900人だったが、約1500人が会場にいたという。

ジャワ野牛が激減 マランで確認わずか6頭 BKSDA

ジャワ野牛が激減 マランで確認わずか6頭 BKSDA
 自然資源保全センター(BKSDA)の調査によると、東南アジアに生息し、絶滅が危ぶまれている野牛の一種、バンテン(ジャワ野牛)の生息数が東ジャワ州マランの森林で、わずか6頭にとどまることが分かった。マランのティルトユド森林でバンテン20頭が確認された1994年の調査から約70%生息数が減少したことになる。インドネシアで昨年までに確認されたバンテンは計22頭。
 自然保護団体は、減少の原因は農園開発などによる生息地の縮小にあるとして、政府に人間との接触のない遠隔地の森林に特別保護区を設置するよう求めている。

 

スンダ海峡で観光船沈没 邦人は全員無事 2人が行方不明

スンダ海峡で観光船沈没 邦人は全員無事 2人が行方不明
 時事通信によると、インドネシア救難当局は7月14日、ジャワ島とスマトラ島の間のスンダ海峡で13日深夜、日本人6人を含む23人が乗った観光船が嵐のため沈没したが、日本人全員を含む21人が救助されたことを明らかにした。残る2人は行方不明となっている。在インドネシア日本大使館も日本人全員の無事を確認した。

消費者窓口の人員不足顕著 10倍程度への拡大が理想的

消費者窓口の人員不足顕著 10倍程度への拡大が理想的
 地元紙によると、インドネシア・コンタクトセンター協会(ICCA)は、企業と消費者を結ぶコンタクトセンターの人員が大幅に不足しているとの見解を示した。経済成長に伴い購買力が高まっている2億4000万人の国民に対し、現状は必要な人員の10分の1程度にとどまっているという。同協会のアンディ会長によると、企業内と業務提携先を合わせた対応人員数は現在12万人。総人口の5%が電話対応などに従事するのが理想的だと指摘し、増員の必要性を訴えた。海外からの委託先としてもフィリピン、インドなどに遅れをとっていると付け加えた。
 コンタクトセンターの市場規模は年間11兆5000億ルピア(約1134億円)以上。業務委託の利用企業は20~30%が金融関連で、通信も15~17%と多い。今後はフェースブック、ツィッターなどソーシャルメディアを利用した業務の需要が高まってくる見込みだ。

再生可能エネルギー活用に軸足を 国家エネルギー会議

再生可能エネルギー活用に軸足を 国家エネルギー会議
 地元メディアによると、インドネシアの国家エネルギー会議(DEN)のハディ・プルノモ事務局長は7月11日、急速な経済成長と人口増大で国内の天然資源の消費量が増え、埋蔵量が減少している現状を踏まえ、再生可能エネルギーの活用に、より軸足を移していく必要性があるとの見解を明らかにした。また、外貨獲得の手段として資源輸出を積極的に進める政府の方針にも警鐘を鳴らした。
 現在、同国のエネルギー消費の割合は石油が44%、天然ガスが23%、石炭が27%、再生可能エネルギーが6%。DENの国家エネルギー政策計画では2050年の種類別エネルギーの利用について、再生可能エネルギー30%、石炭26%、天然ガス24%、石油20%と定めている。政策目標達成に向け、25年には全エネルギーに占める再生可能エネルギーの使用率を少なくとも23%にまで引き上げる必要があるとしている。
 経済成長と人口増により、エネルギー消費は50年の段階で現在の6倍の規模になると予想されているが、ハディ事務局長は国内でバイオ燃料を製造し使用しようとする意識が低いと指摘。国民の大多数が石油資源国としての地位が続くと楽観視していることへの懸念も示している。