静岡県知事 リニア掘削調査を事実上容認 工事進展の糸口か

静岡県の川勝平太知事は6月13日、リニア中央新幹線のトンネル工事をめぐり、県が一時中止を求めている県境近くの掘削(ボーリング)調査について、事実上容認する考えを示した。7日に開かれた、静岡工区未着工問題を議論する専門部会で、大学教授など有識者で構成する委員から「進めるべきだ」「調査に限れば、大量の湧水には至らない」などの意見が出ていた。JR東海も継続的な対話を前提に、進める方針を示している。これが大幅に遅れている工事進展の糸口になるのか、今後の成り行きが注目される。

吉野ヶ里遺跡「謎のエリア」の石棺から副葬品見つからず

佐賀県の山口祥義知事は6月14日、県庁で記者会見を開き、吉野ヶ里遺跡の「謎のエリア」にある石棺墓の中から人骨や副葬品は見つからなかったことを明らかにした。同遺跡内では県が6月5日から石棺墓の開口作業を進めていた。
この石棺墓が、丘陵頂上部にあることや、石棺の蓋を開けたときに通常、比較的官位の高い有力者の埋葬時に出土する赤色顔料が見つかっていることなどから、副葬品を伴う有力者の墓を示すものが出土するのではないかと期待されていた。
もしかすると邪馬台国の所在地を指し示すような、”歴史的発見”になるかもとの期待感があっただけに、残念な結果となった。一方、調査結果を注視していた邪馬台国の畿内説を唱える専門家や研究者は、一様に安堵したーというのが正直な感想のようだ。

大阪万博の入場料 大人7,500円で調整 運営費膨らみ異例の高額に

2025年大阪・関西万博の運営組織「日本国際博覧会協会」(万博協会)が、入場料を大人7,500円で調整していることが分かった。過去の万博と比べ異例の高額となる。年内に販売を始める見通し。
政府が2019年12月に博覧会国際事務局(BIE、本部:パリ)に提出提出した登録申請書には、入場券の想定価格を44ドル(当時の為替レートで約5,000円)と記載していた。ちなみに、前回のドバイ博は3,000円、愛知博は4,600円だった。
入場料引き上げの要因は、運営費の想定を大幅に上回る膨張にある。当初約890億円と想定していた運営費は物価高などの影響で約60億円増える見込みとなり、2022年時点で入場料を6,000円とする案が浮上。その後、会場内の安全を期すため警備員を増やすなど混雑対策を強化する必要があると判断し、運営費は数百億円膨らむ見通しとなっている。

LGBT法案 衆院通過「ジェンダーアイデンティティ」で可決

LGBTなど性的少数者への理解を増進するための法案が6月13日、衆議院本会議で自民、公明の与党に加え、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決された。既述の4党は、与党案の「性同一性」という表現を「ジェンダーアイデンティティ」に改めるなど、日本維新の会と国民民主党の主張に沿って修正した案で合意していた。

少子化対策「こども未来戦略方針」正式決定 3年の加速化プラン

政府は6月13日、異次元の少子化対策の具体的な内容「こども未来戦略方針」を正式決定した。2030年に入るまでの6〜7年間は「少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」との認識で、今後3年間で取り組む政策を加速化プランとしてまとめた。
この主な政策は①児童手当の拡充②出産費用の保険適用の導入③「年収の壁」への対応で企業への支援強化④子育て世帯の住宅支援の強化⑤親の就労を問わず「こども誰でも通園制度(仮称)」を具体化するための保育士の配置基準の改善⑥両親とも育休取得で手取り引き上げ⑦時短勤務による賃金低下を補う給付⑧選択的週休3日制度の普及ーなど。
具体的には「児童手当」の所得制限を完全に撤廃し、現在「中学生まで」となっている給付の対象を「高校生まで」に広げる。また、第三子以降への給付については現在の1万5,000円を3万円に倍増する。2026年度をめどに、これまで一時金で支援してきた出産費用について、保険適用の導入を検討する。

「琵琶湖周航の歌」を時代を超えて歌い継ぐ音楽祭 滋賀・彦根市

滋賀県彦根市のホールで6月11日、100年以上前から伝わる、びわ湖の美しい情景を歌った「琵琶湖周航の歌」を今後も、時代を超えて歌い継いでいこうという音楽祭が開かれた。
同音楽祭にはおよそ1,200人が集まり、初めに地元の児童合唱団やコーラスグループなどが歌声や演奏を披露。このあと、かつて琵琶湖周航の歌をカバーし、ヒットさせた歌手の加藤登紀子さんが登場。ウクライナ支援のために作った曲などを披露した後、参加者と一緒に琵琶湖周航の歌を合唱した。
琵琶湖周航の歌は、100年以上前に、現在の京都大学のボート部の学生が作詞したとされ、びわ湖の穏やかで美しい情景を歌いあげている。

レジ袋有料義務化でHDPE出荷量3年で3割弱減 エコバッグ定着

レジ袋の有料義務化が始まっておよそ3年。レジ袋の原料などになる高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムの国内出荷が減少してきている。日本ポリオレフィン工業組合(所在地:東京都中央区)のまとめによると、2022年の国内出荷量は12万1,702トンと、レジ袋の有料義務化前の2019年に比べ3割弱減少した。消費者の間でエコバッグが浸透、定着してきているためで、今後もHDPEの出荷量の漸減傾向が続くとみられる。

万博機運醸成へ国内外で誘客取り組み強化 企業, 自治体にPR依頼

2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の運営主体、日本国際博覧会協会(万博協会)は6月12日、国内外で万博の機運醸成を図り、全国的に盛り上げていくことを話し合う委員会の初会合を開き、今後の行動計画を策定した。
会合には関西経済連合会(関経連)の松本正義会長はじめ、大阪府の吉村知事、大阪市の横山市長、全国の経済団体の代表らが出席した。今年10〜12月を重点機関と位置づけ、①全国の公共施設などで開幕までのカウントダウンを表示する②路線バスなどで万博のラッピング車両を走らせる③企業や自治体がSNSを通じて、PRイベントの開催など情報発信の協力を依頼するーなどを確認した。
このほか、全国での大阪・関西万博の認知度を2025年3〜5月には概ね100%とする目標値も掲げた。大阪府・市の万博推進局が2022年末に行ったアンケート調査では、府内の万博認知度は90.3%だったが、全国では82.2%にとどまっている。

手塚治虫「ブラックジャック」の新作をAIで制作, AIと人間の共創

漫画家、手塚治虫(1928〜1989年)の、今年誕生50周年の代表作「ブラックジャック」の新作が、人工知能(AI)で制作されることなった。6月12日、慶應義塾大学の栗原聡教授や、手塚氏の長男で手塚プロダクション取締役の手塚眞さんらが参加する「TEZUKA2023」プロジェクトが発表した。
200話以上ある「ブラックジャック」を構造分析してデータ化。これに最近のテキスト・画像生成AIの急速な進化を取り入れ、より高いレベルで「AIと人間の共創」の可能性を検証する。新作は今秋、「週刊少年チャンピオン」(秋田書房)に掲載される予定。