核拡散防止条約(NPT)再検討会議は8月26日、ロシアの反対で最終文書を採択できず、2015年の前回会議に続き決裂した。
米国・ニューヨークの国連本部で行われていた、4週間にわたった再検討会議の議論は紛糾を極めた。その過程で最終文書案から「核の先制不使用」政策を核保有国に求めるなど先進的な内容が削減されていく中、各国ともぎりぎりの交渉で妥結を目指していた。その結果、一時は「合意できそうだ」という見方が広がった。ところが、ロシアは土壇場で「ノー」を突きつけた。
核軍縮の進展に向けて、再検討会議は12年ぶりに成果を出すことに失敗した。これにより、核軍縮がさらに停滞することは確実だ。
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米トランプ氏の不正相次ぎ発覚 問われる国の威信
米国のトランプ前大統領の不正疑惑が相次いで発覚している。同氏は①2021年1月の連邦議会占拠事件②大統領在任中に扱った機密文書をホワイトハウスから持ち出した疑い③同氏一族が経営する会社の脱税の疑い−などがある。
このうち、機密文書の持ち出しについては8月8日に米連邦捜査局(FBI)が家宅捜査に踏み切っている。これだけ疑惑が取り沙汰されると、その当局の対応次第では世界のリーダーを自認する米国の威信が喪失することにつながるのではないかと思われる。
同氏はこれらの疑惑については、相変わらず強気の姿勢を崩さず、外部には核心に触れない範囲での抗弁に終止している。だが、このまま放置、許容すれば米国における法のもとでの民主主義の質・レベルを問われる、米国の威信に関わる問題となりそうだ。厳しい断罪が求められる。