自民党総裁選で岸田氏を選出 決選投票で河野氏退ける

事実上、次の内閣総理大臣を決める自民党総裁選が9月29日行われ、決選投票の結果、岸田文雄前政調会長が新総裁に選出された。決選投票の結果、岸田氏が257票、河野太郎行革担当相が170票で、下馬評で人気の高かった河野氏を退けた。

自民党は「改革」より「安定」を選択
初めて経験する”コロナ禍”に遭い、対策に右往左往した自民党。これを機に”脱皮”変われるはずだったが、結局選択したのは「改革」より「安定」を選択した。
事前に積極的な政策論争が行われていたにもかかわらず、各議員の自主投票ではなく、結局は決選投票では派閥の論理で決着するのか、との批判的な見方が少なくない。派閥の領袖や幹部・古参議員の発言力の相対的低下につながる事態を避け、旧体制を温存した。「世論が政権与党に届かない」「世論とかけ離れた形で運営されている」の批判を受け、「もっと風通しを良くしなければ」としていたはずだが、実際には全く反映されなかった。これで、若手議員の意思はどれだけ反映されたのか疑わしい。党内改革の第一歩は総裁選のあり方から改めなければいけないのではないか。

タイ 全土の非常事態宣言を11月末まで延長を発表

タイ政府は9月27日、全土に出されている非常事態宣言を、11月末まで延長するとともに、首都バンコクなどで午後10時から午前4時まで夜間の外出を禁止する措置を継続する方針を明らかにした。
新型コロナウイルスの新規感染者が連日1万人を超える状況が続いているため。また、感染力の強い「デルタ株」の広がりに伴い、この2カ月余り、1日の死者の数が100~300人の日が続く深刻な状況となっている。同国では、ワクチンを2回接種した人はまだ全人口の26%にとどまっている。

接種80%超のシンガポール 感染増加で再び規制強化

新型コロナウイルスのワクチン接種を終えた人が人口の82%に上るシンガポールで、感染者が増加し、同国政府は9月27日から再び規制を強化した。感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」が広がっているためで、26日は新規感染者数が最多の1,939人となった。
政府は「過去28日の感染者の98%が軽症か無症状だ」として、ワクチン接種の効果は出ているとしている。ただ今後、医療がひっ迫するような事態を防ぐため27日から、飲食店での食事は1組当たり2人までに制限したほか、企業は原則在宅勤務とするなど規制を強化している。

厚労省 英グラクソ製軽症コロナ治療薬を承認 国内2件目

厚生労働省は9月27日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として、英製薬大手グラクソ・スミスクラインの「ソトロビマブ」を承認した。軽症・中等症患者向けで国内では2種類目の新薬となる。
ソトロビマブは、7月に承認した中外製薬の「ロナプリーブ」と同様、ウイルスの働きを抑える中和抗体を1回点滴で投与する。海外の臨床試験(治験)ではソトロビマブは、入院や死亡のリスクが約8割減少したという。2件目の治療薬承認で、軽症・中等症患者の医療現場での選択肢が広がると期待される。

下関でフグ初競り コロナ禍 飲食店需要減で㌔2,000円下げ

冬の味覚の一つ、フグの季節到来を告げる「初競り」が9月27日未明、日本有数のフグ取扱高を誇る山口県下関市南風泊仮説市場であった。天然と養殖のトラフグ合わせて約2.2トンが競り落とされた。1キロ当たりの最高値は昨年を2,000円下回る1万8,000円。主要出荷先の関西や関東が緊急事態宣言が長く続いたことで、飲食店の需要が大きく落ち込んでいることがその要因とみられる。

10/1から自宅待機10日間に短縮 コロナの水際対策緩和

加藤勝信官房長官は9月27日、新型コロナウイルスの水際対策として帰国者や入国者に求めていた14日間の現行の自宅待機期間について、10月1日からワクチン接種済みの場合は10日間に短縮すると発表した。経団連など産業界から強い要望もあり、停滞する社会経済活動の再開を後押しする考え。

日本 緊急事態19都道府県,まん延防止8県の全面解除を決定

日本政府は9月28日、30日に期限を迎える19都道府県への緊急事態宣言および8県へのまん延防止等重点措置について、対策本部会議を開き、全面解除することを正式に決定したと発表した。これに伴い、酒類の提供を含めた飲食店などの制限を段階的に緩和していく。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、「緊急事態宣言」および「まん延防止等重点措置」が出されていた期間が長い間続いていたが、今回の全面解除で久方ぶりに、少し明るさが見えてきた。コロナ禍に伴う外出や飲食などの制限がなくなったのは、4月4日以来ほぼ6カ月ぶり。

大企業製造業の9月景況感 小幅に悪化 日銀短観民間予測

日銀が10月1日に発表する9月の全国企業短期経済観測調査(短観)の民間エコノミスト予想によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)は、プラス13となり、6月のプラス14から小幅の悪化を見込む。悪化すれば2020年6月調査以来となる。製造業。非製造業ともやや悪化する見通し。
製造業では回復傾向が続いていたが、8月下旬ごろから東南アジアで新型コロナウイルスが再拡大し、供給面で影響が出始めた。自動車メーカーはサプライチェーン(供給網)の混乱を受け、大幅な減産を強いられている。すそ野が広い自動車の景況悪化で、他業種の景況感も押し下げられる可能性がある。
大企業非製造業もDIゼロと、6月のプラス1から小幅の悪化を予想する。緊急事態宣言などによる行動制限が長引いており、宿泊や飲食など対面型サービス業の景況感は引き続き停滞している。全規模・全産業の21年度の設備投資計画は前年度比6.8%増と、6月の7.1%から小幅に引き下げるとの見方が多い。