中国で2月10日、春節(旧正月)に伴う8連休が始まった。上海市内の上海虹橋駅は早朝から帰省客や旅行者で混み合った。ただ今年の春節は、異常に高い若年世代の失業率、上海市を除く地方政府が赤字に追い込まれていることを受け、地方公務員の軒並み給与削減が横行する、近年にはなかったほどの不況下だ。このため、旅行者の”財布の紐は固く”消費額の伸びは期待薄だ。
中国政府は春節を前に、直面する不況下で沈滞気味のムードを払拭しようと意識的に、今年の春節前後の40日間で延べ90億人が移動するとの予測を発表した。ただ、この中身をみると8割はマイ・カーでの国内旅行者で、公共交通機関を利用するのは2割の最大延べ18億人。
春節休みの予定を聞くメディアの問いに、「今年は帰省せずに、春節中の”割増賃金”を目当てに稼ぐつもり」と答える人も少なくない。相次ぐ給与削減で、ギリギリの生活を強いられている人たちにとって、今年の春節休暇はとても浮かれてばかりはいられないというわけだ。
中国の旅行社のまとめによると、海外旅行組の渡航先で多いのはタイ、シンガポール、マレーシア、フィリピンで、日本は5番目だ。このため、日本に限れば中国人の個人旅行客による消費は比較的抑えられたものにとどまる見通し。