東大寺「東塔」の回廊跡見つかる 初めて確認

東大寺「東塔」の回廊跡見つかる 初めて確認

奈良時代や鎌倉時代に合ったとされる東大寺の巨大な塔「東塔」の発掘調査で、塔の周囲に設けられた回廊の跡が見つかった。奈良文化財研究所や橿原考古学研究所などの調査団の発掘調査で今回見つかったもの。鎌倉時代に造られた回廊の一部とみられる。
東塔の回廊は、江戸時代の縮図から、かつて塔を囲むようにあったことが知られていたが、実際にその跡が確認されたのは今回が初めて。
東大寺の東塔は奈良時代、大仏殿の東にあった巨大な七重塔で、平安時代に平氏の焼き討ちに遭い、鎌倉時代に再建されたが、その後、再び火災で焼失したといわれている。
東大寺の東塔跡では10月7日、現地説明会が開かれる。

南方熊楠の手紙確認 昭和天皇の神島来訪を期待

南方熊楠の手紙確認 昭和天皇の神島来訪を期待

南方熊楠が同郷のジャーナリスト、杉村楚人冠に宛てた、昭和天皇の田辺湾の神島来訪を期待する旨を記した手紙が見つかった。千葉県我孫子市の「杉村楚人冠」記念館が、楚人冠の遺族から寄託された資料の中から見つけ、筆跡や内容などから熊楠のものと確認した。
これは熊楠が昭和4年5月に出した手紙で、生物学に造詣の深かった昭和天皇の神島来訪を切に期待する思いを記している。実際に1カ月後に、昭和天皇の神島訪問が実現し、熊楠は自ら採取した標本を献上している。
関係者は、神島に天皇を迎えることは、その保護に取り組んできた熊楠にとって千載一遇の機会だった。そんな熊楠の意気込みや期待感が表れた資料-と話している。
南方熊楠はイギリスの大英博物館などで研究に取り組んだ後、現在の和歌山県田辺市を拠点として粘菌学や民俗学など多岐にわたる分野で活動、数多くの業績を残した世界的な博物学者。