東大,ホンダなど体に装着する生化学ラボ開発へ連携

東京大学大学院(所在地:東京都文京区)、ホンダ技術研究所(本社:際打玉県和光市)、凸版印刷(本社:東京都文京区)、三洋化成工業(本社:京都市東山区)は3月9日、2022年1月1日に「装身型生化学ラボシステム 社会連携講座」を東京大学内に開設し、体に装着し汗などの生体試料から主にストレスや疲労などに関わる生化学情報を体への負担が少なくかつ連続的にセンシングする「装身型生化学ラボシステム」の開発および、その実証技術の研究に着手したと発表した。
この講座は、業種の異なる3社と東京大学のバイオエンジニアリング専攻で、人とデバイス・マテリアル、さらに機械をつなぐバイオインターフェース技術、デバイスおよびシステム設計技術を構築し、さらには開発する装身型生化学ラボシステムを用いた”先進ヘルスケアシステム”の実証技術を構築する。
これによって、将来的には自動車や建機など移動・輸送機械の運転時の安全性や快適性の向上、健康・医療、介護機器などでの活用による人々の一層の健康増進に貢献する。

エアウォーター,鹿島 脱炭素へ家畜ふん尿由来の水素サプライ事業

エア・ウォーター(大阪本社:大阪市中央区)のグループ会社、エアウォーター北海道と鹿島建設(本社:東京都港区)は3月4日、北海道河東郡鹿追町で、国内で初めての家畜ふん尿由来のバイオガスからつくられる水素の製造・販売等のサプライ事業を手掛ける合弁会社「しかおい水素ファーム」を設立したと発表した。
しかおい水素ファームでは、国内有数の家畜ふん尿の処理施設の鹿追町環境保全センターからメタン発酵により生成されたバイオガスの供給を受け、水素を製造する。なお、家畜ふん尿由来とする水素は、国内唯一の事例となる。

住友化とマイクロ波化学 高効率な水素プロセス開発に着手

住友化学とマイクロ化学は2月21日、メタンをマイクロ波により熱分解し、水素を製造するプロセスの共同開発に着手したと発表した。2030年代前半に商業生産を開始する予定。生産能力は年間数万トンを目指す。
今回の共同開発では、住友化学が有する触媒および化学プロセスの設計技術と、マイクロ波化学が持つマイクロ波プラットフォーム技術を融合させ、26年度までに省エネルギーかつ高効率な水素製造プロセスの確立を目指しており、すでにマイクロ波化学でラボスケールでの実験を開始している。

ナフサ分解炉におけるアンモニア燃料実用化に向けた実証開始

三井化学(本社:東京都港区)、丸善石油化学(本社:東京都中央区)、東洋エンジニアリング(本社:千葉県習志野市)、双日マシナリー(本社:東京都千代田区)の4社は2月18日、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発/ナフサ分解炉の高度化技術の開発」の実証事業において、4社共同で申請し、採択されたと発表した。
同事業jはナフサ分解炉において、従来メタンを主成分としていた燃料をアンモニアに転換することで、燃焼時に発生するCO2を限りなくゼロにすることを目標としている。実証期間は2021年度から2030年度までの10年間を想定しており、最終年度にはアンモニア専焼商業炉での実証を完了し、社会実装していくことを目指していく。

三井化学 アジア地区で初のバイオマスフェノールを出荷

三井化学(本社:東京都港区)は2月15日、バイオマスフェノールをアジア地区で初めて出荷したと発表した。当該製品は2021年12月に同社大阪工場(所在地:大阪府高石市)に到着したNESTE社のバイオマスナフサを利用した誘導品で、ISCC PLUS認証に基づいたマスバランス方式で各種プラスチック・化学品に割り当てバイオマス認証を付与したバイオマスフェノールとなる。今後は、同方式で生産されたバイオマスアセトンなどの出荷も予定している。
同社は、循環経済の実現に向け、化学品・プラスチックのリサイクルとバイオマス化の両輪を進めている。素材・プロセスの開発と共に、今回のバイオマスナフサ誘導品の初出荷を皮切りに、着実にバイオマスの社会実装を推進していく。

商船三井テクノトレード BDF用いた燃料供給船の運航に成功

商船三井のグループ会社、商船三井テクノトレード(本社:東京都千代田区)は2月9日、保有・運航する燃料供給船「テクノスター」が、油籐商事より供給されたバイオディーゼル燃料(以下、BDF)を用いた運航に成功したと発表した。また、日本で初めて日本海事協会により、このBDF燃焼時に排出される窒素酸化物(NOx)が、MARPOL条約等における排出規制を満たしていることが認証されたとしている。
今回利用したBDFは、回収した廃食油をメタノールによってエステル交換し生成される脂肪酸メチルエステルを燃料として利用するもの。BDFはバイオマスエネルギーの一つであり、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出するが、原料の植物はCO2を吸収してバイオマスを再生産することから、燃焼時のCO2排出量を削減できる。今回供給されたBDFは、国内で初めてA重油との混合比率を3割以上高めて利用し、これにより25~30%のCO2排出量削減を見込む。

ロボット・AIが細胞培養 22年度理研が神戸市に拠点設立

理化学研究所などは2022年度、ロボットに細胞の培養などの実験を担わせる研究拠点を神戸市に設立する。iPS細胞(人工多能性幹細胞)の培養など、再生医療や生命科学の分野で、研究者が多大な労力を費やす単純作業を自動化することで、十分な研究時間を確保して新たな治療法の開発などを加速させるのが狙い。
理研が神戸に設立予定の研究拠点では、人の両腕のようなアームを持つロボットや顕微鏡、実験で用いる液体を試験管に注入する機器などを複数連携させたシステムを構築する。人工知能(AI)を使って熟練技術者の”技”を覚え込ませたロボットが、顕微鏡で撮影した細胞の状態を自律的に判断し、培養条件などを調節する。

商船三井 マレーシア国営ペトロナスと液化CO2輸送で覚書

商船三井(本社:東京都港区)は2月8日、マレーシアの国営石油ペトロナスと液化した二酸化炭素(CO2)の海上輸送に関する事業開発の協力で覚書を締結したと発表した。発電所や工場などから出るCO2を回収して地中に貯留したり、工業原料に再利用する取り組み「CO2の回収・利用・貯留(CCUS)」を推進する。
両社はまずアジア太平洋地域におけるCCUSの実現のため、液化CO2海上輸送中心に検討を進める。CCUSバリューチェーン全体の見地に立った液化CO2輸送船の仕様検討等を行う。
今回の覚書締結を通じ、液化CO2海上輸送への取り組みをさらに加速させ、低・脱炭素社会の実現に貢献していく。

商船三井 三菱造船とアンモニアFSRUのコンセプトスタディ完了

商船三井(本社:東京都港区)は2月3日、三菱重工グループの三菱造船(本社:横浜市西区)と協働し、浮体式アンモニア貯蔵再ガス化設備(以下、アンモニアFSRU)に関するコンセプトスタディを完了したと発表した。また、両社および関西電力(本社:大阪市北区)の3社は、脱炭素エネルギーとしてのアンモニア導入に有効なアンモニアFSRUの将来的な導入検討を共同で実施することに合意し、覚書を締結した。これにより、アンモニア燃料の早期導入を実現し、環境負荷の低い次世代燃料の普及に寄与することが期待される。

三菱造船「CO2を資源に」CCUS用途の液化CO2輸送船建造へ

三菱重工グループの三菱造船(本社:横浜市西区)は2月2日、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「CCUS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCUS大規模実証実験/CO2輸送に関する実証実験」で活用する液化CO2(LCO2)輸送の実証実験船の建造契約を、山友汽船(本社:神戸市中央区)との間で締結したと発表した。
CCUSとは「Carbon Capture,Utilization and Storage」の略で、CO2(二酸化炭素)の回収・利用・貯留技術の意。石炭やLNGなどの化石燃料燃焼プラントから出るCO2を捕捉回収し、再利用可能なよう貯留する技術。
日本ではすでに2012年から北海道の苫小牧でCCS、すなわちCO2の回収・貯留技術に関する大規模な実証実験が行われているが、脱炭素社会を目指す世界的な動きの中、CO2の再利用までを含めたCCUSに軸足が移りつつある。そこで今回、世界でも例がないCCUSを目的としたLCO2輸送船を建造することになったもの。