パナソニックHD 1万人削減 構造改革で国内外スリム化

パナソニックホールディングス(HD)は5月9日、希望退職などで1万人規模の人員削減を実施すると発表した。
人員削減は主に2026年3月期に実施。対象はグループ全体の従業員で、国内5,000人、海外5,000人を想定する。パナソニックHDの連結従業員数は2025年3月末時点で20万7,548人で、削減規模は全体の5%弱に相当。総務や人事など間接部門が肥大化し、固定費の負担が業績を圧迫していることから構造改革の一環として、組織のスリム化を図る。
一連の構造改革で計1,500億円以上の利益改善を目指す。主要なものとして、①人員削減による利益面の改善効果は700億円②家電などを手掛けるパナソニックの分割・再編で330億円③不採算事業からの撤退や拠点統廃合420億円ーーなどを見込む。
構造改革に加え、車載電池事業など注力事業の収益性を向上させることで、2029年3月期までに利益面で3,000億円以上の改善を図るとしている。

任天堂「スイッチ2」初年度販売1,500万台目標

任天堂は5月8日、6月に発売する新型家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」の販売目標を軸とする2026年3月期の業績予想を発表した。スイッチ2の販売目標台数を、現行機のスイッチの初年度販売実績(1,505万台)並みの1,500万台とする。スイッチ2は現行機より約3割画面が大きく、遠隔地のプレーヤーと会話できる「ゲームチャット機能」などが追加されている。スイッチ2のソフトは4,500万本の販売を目指している。専用ソフトとして「マリオカート」「星のカービィ」など人気タイトルの新作を発売し、本体の販売につなげる。
スイッチ2の発売効果で、売上高は前期比63.1%増の1兆9,000億円、最終利益は7.6%増の3,000億円を見込む。

村田製作所 ベトナムに車載機器向けコイルの新工場棟

村田製作所(本社:京都府長岡京市)は5月8日、ベトナム・ホーチミン市近郊の現地法人の工場内に約30億円を投じて新棟を建設すると発表した。車載用電子機器内で、電気の流れを安定させるコイルを製造する。2026年4〜9月期の完成を目指す。新棟は3階建てで、延床面積は約1万㎡。

トヨタ 26年3月期34%減益へ 米政権の関税・円高が影響

トヨタ自動車は5月8日、2026年3月期連結決算(国際会計基準)の業績予想を発表した。世界販売は好調に推移すると見込むが、トランプ米政権の関税措置や円高が業績を押し下げる。その結果、最終利益は前期比34.9%減の3兆1,000億円になる見通しだ。
売上高にあたる営業収益は1.0%増の48兆5,000億円を見込む。ハイブリッド車(HV)の好調な売れ行きを背景に、世界販売台数は約13万台増の104万台としている。営業利益は20.8%減の3兆8,000億円と予想。

JA 備蓄米の卸業者への出荷まだ32% 政府 入札緩和検討

全国農業協同組合連合会(JA全農)は5月9日、政府備蓄米の流通を巡り3月に落札した19万9,270トンのうち、5月8日時点で32%にあたる6万3,266トンを卸売業者に出荷したと発表した。前週の5月1日時点の29%から3ポイント上がったが、いぜんとして68%は卸売業者には渡っていないのだ。全量を売り渡すのは7月以降になる見通しだ。
JA全農によると、卸売業者から出荷依頼を受けて小売店に届くまでには2〜3週間かかる。卸売業者が精米する処理能力に限りがあるためだ。
コメ価格の高騰が続き、備蓄米の流通が停滞する事態を受けて、政府はようやく入札に参加する業者の条件を緩和する方向で検討に入った。現状では放出した備蓄米と同じ量のコメを原則1年以内に買い戻す条件がついているが、この条件を緩めることで幅広い業者の参加を促し、備蓄米を広く行き渡らせたい考えだ。

三菱自 北米でEVに再参入 26年日産からOEM供給受け投入

三菱自動車(本社;東京都港区)は5月7日、北米市場で電気自動車(EV)販売に再参入すると発表した。日産自動車(本社:横浜市西区)からEV「リーフ」の新型をベースにした車両のOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受け、2026年後半に投入する予定。
三菱自動車は、2011年から量産EV「アイ・ミーブ」を北米市場で展開していたが、2018年に販売を終了した。それ以降は北米での電動車は、強みとするプラグインハイブリッド車(PHV)に注力してきた。

関電 大阪・岬町の火力発電所跡地に「蓄電所」建設

関西電力(本社:大阪市北区)は5月7日、2001年に廃止した石油火力発電所、多奈川発電所(所在地:大阪府泉南郡岬町)の跡地に、大量の電気を貯めて、必要に応じて送電網に送る「多奈川蓄電所」を建設すると発表した。敷地面積は約2万㎡で、2025年6月にに着工、2028年2月の商業運転開始を目指す。定格出力99MW、定格容量396MWh、電池方式はリチウムイオン電池で、系統用蓄電所としては国内最大級。

公取委 都内15ホテルに警告 客室情報を共有 カルテルの疑い

公正取引員会は5月8日、東京都内の有名ホテル15社が毎月会合を開き、客室単価などの情報を共有していた行為が価格カルテルにつながる恐れがあるとして、独占禁止法違反の疑いで再発防止を求める警告を行った。価格つり上げなどの行為は確認されなかったが、各社で内部情報を交換していたことを問題視した。
対象となったのは帝国ホテル、オークラ東京、ホテルニューオータニ、京王プラザホテル、シェラトン都ホテル東京、第一ホテル東京、パレスホテル東京、ホテル椿山荘東京、ハイアットリージェンシー東京など15社。

塩野義 JTから1,600億円で医薬事業を買収 創薬力強化

塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は5月7日、日本たばこ産業(JT)から医薬事業を買収すると発表した。JT傘下の鳥居薬品に対して株式公開買い付け(TOB)を実施するほか、JT本体の医薬事業と、米国の関連子会社も譲り受ける。買収額は総額約1,600億円。
塩野義は感染症の治療薬を得意とする。アレルギー疾患や皮膚疾患などの薬に強みを持つ鳥居薬品を買収することで、創薬力の強化や販売網の拡大を図る。JTは医薬事業から撤退し、本業に集中する。

PHV 製品ライン強化 EV販売停滞”つなぎ役”でなく売れ筋に

自動車の新車販売市場でプラグインハイブリッド車(PHV)の評価が高まっている。航続距離のへ不安や、先行する中国メーカー各社のグローバル市場への供給急増なども加わって、電気自動車(EV)の販売が伸び悩む中、電気とガソリンを併用できる利便性の高さが支持されているのだ。これまではEVが普及するまでの”つなぎ役”とみられていた。
富士経済の需要見通しでは2024年のEVの世界販売台数は前年比4%増の1,048万台にとどまった。これは充電設備の不足や航続距離への不安が主要因とみられる。これに対し、PHVは同約30%増の545万台と大きく伸びる見込みだ。
こうした需要予測をにらみメーカー各社はPHVのラインアップを強化している。トヨタ自動車、三菱自動車、マツダなど相次いで新型車を投入している。
PHVはEV大国、中国でも脚光を浴びる。BYDを筆頭に新車種を展開し、2024年の新車販売の伸び率は8割超と、2割以下のEVを大きく上回った。世界販売台数は中国勢が6割を占めた。4月23日から開かれていた世界最大級の自動車展示会「上海国際自動車ショー」でもPHVの展示スペースが際立った。各社がテコ入れを急いでいるからだ。浙江吉利控股集団傘下EVブランド「Zeekr(ジーカー)」や、EV専業の小鵬汽車(シャオペン)が初めてPHVを投入することをそれぞれ明らかにしている。
PHVの最大の特徴は、給油に加えて、充電プラグをさせば外部からも充電できる点にある。EVは充電施設の少なさから”電欠”への不安がつきまとう。だが、PHVはその部分をガソリンで補いながら電気だけでも走れる。ハイブリッド車(HV)に比べ環境性能も高めた、いわば”いいとこ取り”な車だ。日常使いならモーターを主体に、遠出をする際はガソリンをメインに走るなど、動力を使い分けることが可能だ。
こうしてPHVは航続距離の長さが支持され、EVを上回る伸び率で成長が続く。今後は機能や価格を巡る競争も激化する見通しだ。