イ政府が日本など5カ国・地域製鋼板に反ダンピング課税
インドネシア政府が日本、中国、韓国、ベトナム、台湾の5カ国・地域製の鋼板に反ダンピング(不当廉売)課税を発動し、関係国に波紋を広げている。課税対象は冷延鋼板。期間は3月19日から3年間で、課税率は新日鉄住金や神戸製鋼所が最も高い55.6%となっている。2011年半ばに国営製鉄クラカタウ・スチールの訴えを貿易省が受理し、ダンピングの可能性を調査していた。
今回の措置の背景には、インドネシアで鉄鋼業がなかなか育たないことへの焦りがある。加えて、経済連携協定(EPA)などで関税を下げた結果、鉄鋼製品の流入が急増したためだ。そこで、自前の産業育成・保護を重視する観点から国内生産を促すことを狙い、輸入品対策に乗り出したとみられる。
冷延鋼板は主に自動車や家電の部品に使われ、インドネシアは高級品のほぼ全量を輸入に依存している。11年の輸入量は約81万㌧。うち28%のシェアを占める日本の業界団体は直ちに反発。インドネシアの国内産業に損害を及ぼした事実はなく、再考を要請する-との声明を出している。韓国や台湾企業も課税率が不当と提訴、あるいは抗議の書簡を送るなどしている。