ジョコ政権が克服すべき政治・経済の課題 本名教授
立命館大学国際関係学部の本名純教授は11月7日、ジャカルタで三菱東京UFJ銀行が開いた講演会で、インドネシアのジョコ・ウィドド政権が克服すべき政治・経済の課題と、留意すべき対応策について語った。特定の支援組織を持たず、庶民派代表として大統領に上り詰めたジョコ氏だけに、また少数与党の国会や党内での基盤が確立されていないことで、「世論を味方につけながら政権運営していくことがカギを握る」などの見解を示した。
同氏が中長期的に課題として挙げた克服すべき政治面での課題は、汚職撲滅と治安問題だ。特に治安面では2000年前半に逮捕された大物テロリストが刑期を満了するほか、中東で訓練を受けた国際的なネットワークを持つテロリストが帰国してインドネシアで台頭する前に、その芽を摘み取ることが重要と述べた。地元メディアなどが報じた。
経済面では「中所得国の罠」の回避とインフラ整備、所得再配分と社会保障拡充などを課題として指摘した。成長のボトルネックとなっているインフラ整備には、財政政策や投資の呼び込みが必要となるが、国内産業を保護をする政策との板挟みを乗り越える必要があるとの見方を示した。所得の再配分では、低所得層に富を分配するメカニズムを構築していかけなければならないと強調。社会保障に資金を振り向けるには、企業の脱税を手助けする”税務マフィア”の撲滅に取り組む必要があるとしている。