「海洋強国」実現へ インドネシアが海軍強化 中国を警戒

「海洋強国」実現へ インドネシアが海軍強化 中国を警戒

インドネシアのジョコ・ウィドド政権が「海洋強国」実現に向け、海軍の増強および外国の密漁船の取り締まりの徹底・強化を柱とした取り組みを加速させている。この背景には急速に南シナ海進出を図る中国への強い警戒感がある。というのは、天然資源が豊富なインドネシアのナトゥナ諸島は中国が領有権を主張する「九段線」近くにあり、しかも同諸島の一部を九段線の中に含めているみられるからだ。

ジョコ大統領は、インドネシアを海洋国家として発展させることを優先目標に掲げている。このため軍の近代化を急ぎ、自前の潜水艦建造を目指すほか、無人偵察機導入も検討するなど、とりわけ海軍の増強を計画している。また、外国船の密漁で年間300兆ルピア(約2兆8800億円)が失われていると危機感を示し、大統領就任早々の2014年11月に、密漁船には撃沈を含む強硬策を取る姿勢を打ち出している。こうした大統領の意向を受け、インドネシア海軍は同12月から摘発に乗り出し、アナンバス諸島周辺海域で違法操業していたベトナム船3隻、パプアニュウーギニア船2隻、タイ船3隻をそれぞれ乗員を下船させた後、爆破、沈没させている。