インドネシアの若年失業率は20%突破か 雇用悪化

インドネシアの若年失業率は20%突破か  雇用悪化

インドネシア経済がおよそ6年ぶりの低成長に落ち込む中、企業の人員削減の動きが止まらない。深刻視されるのはすでに20%を超えるともいわれる若年層の失業率だ。雇用情勢の悪化はジョコ政権にとって極めて頭の痛い問題となっている。
公式統計を見る限り、雇用がとくに悪化したという印象はない。2月の失業率は5.81%。前年同月の5.70%から小幅上昇にとどまっている。しかし、この公式統計、信頼性が低く、実は同国経済の3分の2に相当するとされる「非公式部門」は適切にカバーされていない。
こうした実態を裏打ちするように、企業はインドネシア全土で人員削減を加速しており、企業幹部や人材派遣会社、求職者らは、企業の雇用状況は悪化しつつあると指摘する。
中でも大きな打撃を受けているのは若年層だ。国際労働機関(ILO)の推計によると、インドネシアでは若年層の失業率は2013年に20%を突破。エコノミストは現在さらに上昇しているとみる。
インドネシアでは労働人口のおよそ3分の1が15~29歳の若年層。かつての中国や韓国のような人口ボーナスを享受できるはずだが、それも毎年労働市場に参入して約200万人分の職があればの話だ。この点、経営者協会のスカムダニ会長は「政府には労働力を吸収するための青写真がない」と指摘。「こうした状況が続けば、人口ボーナスどころか、人口災厄だ。犯罪率が高まり、社会が混乱しかねない」と述べている。ロイター通信が報じた。