ツアー→個人・爆買い→体験型 インバウンドに変化
中華圏の旧正月、春節を迎え、2016年も訪日外国人客の大幅な伸びが見込まれているが、その中身にははっきりと変化が出てきている。
その大きな変化の一つはツアー(団体旅行)一辺倒から個人旅行の比率が上昇してきていることだ。旅行業界関係者によると、2015年の春節時点ではツアー客がほとんどで、個人旅行の比率は10%未満だった。それが15年末には30%まで高まり、16年中には50%を超えると予測する。これは、スケジュールが詰まっているツアーでは買い物を十分楽しみたい人には、その時間が少ないためだ。
いま一つみられる大きな変化は、”爆買い”に象徴される、これまでのモノ一辺倒からコト消費への広がりだ。具体的には美容室でのヘアカットやシャンプー体験、それに人間ドックの健診体験などだ。爆買いから、個人の嗜好やニーズに合わせた体験型旅行への広がりだ。
東京都内の美容室では、中国人向けにヘアスタイルのメニューや、中国語を話せるスタッフをそろえているところもある。人間ドック健診体験は政府が推進する「医療ツーリズム」につながるものでもある。通常時期では200件程度の予約状況だが、今年の春節時期の予約は2倍の400件にも達しているという。
なお、比重としてはこれまでより低下する見込みだが、モノ消費もいぜん根強く、家電量販店や流通関係の免税店は大きな期待を寄せている。中国など海外専用仕様の炊飯器、掃除ロボットや、ランドセル、PM2.5除去用の高機能空気清浄機、理美容家電、調理家電などが売れ筋になると見込んでいる。