自動車用鋼板の現地生産化加速 課題は原板のAD規制
自動車市場の拡大が続くインドネシアで、自動車用亜鉛めっき鋼板の現地調達化に向けた動きが本格化している。新日鉄住金やJFEスチールなどの動きがそれだ。日系自動車メーカーにとっては歓迎すべき環境が整いつつあるが、課題もある。日本から輸入する原板の冷延鋼板で、アンチダンピング(AD)規制によるコスト増の問題だ。
JFEスチールは西ジャワ州ブカシ県のMM2100工業団地内に約300億円を単独出資し、「JFEスチール・ガルバナイジング・インドネシア」を設立、年産能力は40万㌧で2016年3月の稼働を目指す。新日鉄住金は国営製鉄クラカタウ・スチールとの間で、溶融亜鉛めっき鋼板の製造を目的に、合弁会社を設立することで合意し昨年12月、今年前半に正式契約を目指すことを発表している。JFEスチールと新日鉄住金インドネシア進出は、最終製品の形で輸出していた亜鉛めっき鋼板の現地生産化で、輸送コストの削減やきめ細かなユーザー対応などにつなげるのが狙いだ。
ただ、日系大手製鉄メーカーにとってコスト増になると懸念されるのが、インドネシア政府が発動した溶融亜鉛めっき鋼板の原板の冷延鋼板のAD規制だ。インドネシア政府は今年3月、3年間の日本製冷延鋼板への賦課を決定した。この規制により、日系自動車メーカーによると大体3~5%のコスト増となっている。このため、JFEスチールなど日本の製鉄メーカーは規制の再考をインドネシア政府に求めている。