様変わりのタナアバン 波乱含み、どうなる露天商の行く末

様変わりのタナアバン 波乱含み、どうなる露天商の行く末
 ジャカルタ特別州のジョコウィ知事の「近代化政策」の象徴として推進されている露天商の移転、撤去が進行している。中でも劇的な変化がみられるのが”露天商の総本山”と目されていた、ジャカルタ中心部のタナアバンだ。かつては所狭しと路上をにぎわせていた露店は跡形もなく消え、改修工事が進められている。
 地元紙によると、ジョコウィ知事は9月2日、改修工事を終えた移転先の州営市場「ブロックG」を報道陣に公開した。タナアバンから「ブロックG」への露天商の移転を成功例として、州は市民に幅広く周知、宣伝したい思いが垣間見える。
 州はブロックGの入居に異例のインセンティブを設けた。露天商の900人に対し、構内の銀行は商店主向けに少額融資を提供。老朽化した建物を改修し、12㍍四方の売り場の賃料は初めの6カ月間は無料としたのだ。これほどの配慮、好条件で進められた移転計画だが、これで事態が丸く収まったのかといえば、必ずしもそうではない。
 そもそも州による強制撤去後、ブロックGに入居できたのはタナアバンの露天商の半分で、残りの半分は出身地の地方、故郷へ帰ったという。また、入居した元露天商からいま数多くの不満が出ている。最大の不満はブロックGを訪れる客足の少なさにある。今回、露天商が入居した3、4階は以前は、実は”シャッター街”として名高かったところなのだ。州はそこを改修し、市民にも宣伝することで活性化させる”一石二鳥”の目論見だった。しかし、いったん染み付いたイメージはそう簡単に払拭できるものではない。
 こうした閉塞的な状況打開案として、元露天商から州への「要望」として出されたのが「ナイトマーケット案」だ。すなわち昼はブロックG、夜は路上で”夜市”を開くというものだ。交通量が減る夜間は露店販売しても、渋滞も引き起こさず、観光名所にもなる-とする事実上の路上復帰も兼ねる案だ。果たして州はどう対応する?