スマトラ沖地震から9年「震災遺構」を観光資源に
2004年12月26日に発生したインドネシア・スマトラ沖地震に伴う大津波で被災した、壊れた建物、陸に押し流された船舶など、津波の猛威を伝える「震災遺構」を観光に活用する動きが被災地で広がっている。同地震および大津波から9年が経過。この巨大津波による死者・行方不明者23万人のうち、7割近くの16万人以上が犠牲になったアチェ州では、大災害の教訓と防災の大切さを後世に継承するとともに、観光資源化を図る試みが進行している。
アチェ州の州都バンダ・アチェでは津波で破壊された病院や、海岸線から内陸約3㌔の地点まで押し流された大型船、内陸の民家の上に打ち上げられた漁船などが保存され、観光スポットになっている。被災直後の写真なども展示する「津波博物館」も公開中だ。
バンダ・アチェ市観光文化局は、震災遺構の由来や地図を示したパンフレットを数種類つくった。英語訳も記されている。震災の爪あとが残る場所は、観光客が最も多く訪れる。それだけに経済効果も期待でき、同局では今後も活用していくとしている。ただ、東日本大震災の被災地の例でも明らかなように、被災者の間ではこうした残存物を残すことには賛否両論ある。