制度透明化へ、ハラルの認証権限巡り議論高まる
審議が長らく平行線のまま事実上放置されていた、インドネシアのハラル(イスラム教義に沿った商品・活動)認証の権限に関する議論が高まっている。発行団体として認知されているイスラム学者会議(MUI)に対し、宗教省は権限を移管するよう主張。国会でも権限独占を問題視する声が強まり、関連法案の審議が活発化している。
双方の議論の発端は2006年に遡る。政府は06年①認証は公的機関が発行する②申請は事業者の任意で、義務化しない-などを柱とする「ハラル製品保証法案」を国会に提出した。しかし、移管を拒むMUIと、これを支持する政党会派の反対で8年間、審議は事実上棚上げされてきたが、2014年2月末に始まった作業部会で激しい論戦が繰り広げられている。
スルヤダルマ宗教相は3月初め、「認証機関は法案に明記されている新設予定の国家ハラル製品庁(BNP2H)に移管すべきだ」と政府方針を国会議員にぶつけた。その結果、主要政党は政府機関の移管に賛成し、宗教委員会の副委員長(民主党)は、MUIが長年続けてきた制度は「不明瞭な発行料収入に対する監査がなく、欠点が多い」と批判している。一方、当事者のMUIは発行団体として25年の実績をもとに、頑強に政府案に反対し、イスラム系政党などはMUIを含めた複数機関による発行を主張。また、事業者の任意ではなく、全事業者に対する認証申請の義務化を訴える意見もある。
議論の行方は、ハラル認証に関心を持つ日本などの企業にとって、今後の取得手続きに影響を与えることは必至。インドネシアと同様、多くのムスリム人口を擁する近隣国のマレーシアは1968年に政府機関のイスラム開発局(JAKIM)を設立。いち早くハラル認証制度を整え、日本など各国のイスラム団体との関係を構築している。そのマレーシアにハラル関連ビジネスで大きく水をあけられてしまったインドネシア。それだけに、今回は早期の透明化した制度への決着が待たれる。