清酒 東南アジアへ輸出本格化 和食人気で需要増
関西の酒造会社が東南アジアへの清酒などの輸出を本格化している。東南アジア各国の富裕層を中心に和食の人気が高まり、清酒などの需要が伸びていることに対応、和食店や食品スーパーなどに売り込む。試飲会などを通じて清酒に親しんでもらい、現地向けの商品も投入する。日本経済新聞が報じた。
白鶴酒造(神戸市)は6月にもインドネシアへ清酒の輸出を始める。定番商品の「上撰」(1.8㍑)や「生貯蔵酒」(300㍉㍑)、純米にごり酒「さゆり」(300㍉㍑)など計6~7品目を都市部の和食店を中心に売り込む。現在8人の担当者が海外の市場開拓にあたっている。フィリピンの市場開拓に力を入れるのは大関(兵庫県西宮市)だ。主力の「ワンカップ大関」のラベルを日本人女性や富士山のデザインに変更した「ワンカップブラック」(180㍉㍑)を、マニラの高級飲食店などに販売する。
月桂冠(京都市)は、輸出や海外営業を担当する貿易部の6人が直接現地の小売店や飲食店を訪れ営業活動する。宝酒造(京都市)も4月からシンガポールの拠点を3人に増員し、東南アジアやオセアニアの営業を強化する。小西酒造(兵庫県伊丹市)は、主力の清酒「白雪」などをインドネシアやマレーシアの都市部の飲食店やスーパーに売り込む。本社の輸出担当をこれまでの3人から5人に増やしている。沢の鶴(神戸市)は、3人の海外担当者がシンガポールやベトナムの小売店や飲食店を直接訪問して営業している。
酒造各社の東南アジア向け輸出強化および本格化はこれからで、現状ではまだ業容は小さい。白鶴酒造の東南アジア8カ国での売上高は2013年3月期が約1億円で、17年3月期には2億円へ倍増目指す。大関の13年度の東南アジアでの売上高は8800万円だが、16年度には5割増の1億3200万円まで増やす。