「政権入り=大臣ポスト」巡り攻防 ジョコ氏正念場

「政権入り=大臣ポスト」巡り攻防 ジョコ氏正念場

 改革派を標榜するジョコ・ウィドド氏により、10月発足する新政権には、越えなければならない、いくつかのハードルがある。最優先に取り組まなければならないのが、現状37%の国会議席を過半数まで増やすことだ。また、このことと密接に関わってくるのだが、連合政党に渡す大臣ポストを最小限に抑えることも大事な要点だ。したがって、これらを遂行するには当該政党とのタフで粘り強い調整が求められる。まさに正念場だ。

 そもそもジョコ氏が掲げる「専門家内閣」構想に対しては、連合政党に不満がある。ジョコ氏が大臣ポストを決める基準は「政党党首ではなく、その分野に実績のある専門家」と語るからだ。この点、与党でジョコ氏自身所属の闘争民主党からも「新政権は議員や政党幹部とのシナジーに基づくべきだ」と圧力がかかり、不協和音が見え隠れする。

 議会多数派工作にはゴルカル党か、ゴルカル党以外の2党以上が連立与党に新たに加わる見通し。連立政権入りを目指す政党は大臣ポストがほしい。だが、7月の大統領選ではジョコ氏はそのポストを確約せず、そのため議席の63%を占める5党が、大臣ポストを確約したプラボウォ氏の支持に回った経緯がある。

 ジョコ氏は政党がほしがる大臣ポストを36から27まで削減する考えだ。また、ジョコ氏は選挙戦終盤に公表された、直属の選対から出た700㌻を超える政策提言書「自立した国家への道」を実現するには、政党との妥協を最低限にしたい。そのため、大臣職のネット公募などで密室での取引をけん制している。“改革派”ジョコ氏の真骨頂が試される。