南シナ海巡りバイデン米大統領と中国・李首相が批判・応酬

オンライン形式で10月27日開かれた東アジア首脳会議で、米国のバイデン大統領と中国の李克強(リー・クォーチャン)首相が、現状認識で意見を戦わせ、応酬、対立が際立った。
バイデン氏は中国の南シナ海進出などを念頭に「国際秩序への脅威に対する懸念」を表明した。これに対し、李氏は「南シナ海は全体的に安定を維持している」と反論した。また、バイデン氏は台湾問題に言及「極めて強固に」関与すると強調し、「地域の平和と安定を脅かす中国の高圧的な行動を深く懸念している」と中国を批判した。東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳を前に「インド太平洋に永続的に関わる」とも強調し、同盟国とともに民主主義や公海航行の自由を支持すると訴えた。
一方、李氏は「中国とASEANの共同の努力によって、南シナ海で航行の自由に問題が生じたことはない」と主張。米国の介入は不要だと訴えた。
米大統領の東アジア首脳会議への出席は5年ぶり。ASEANは複数の加盟国が、中国と南シナ海の領有権を争っている。安全保障分野での米国の後ろ盾は不可欠で、各国はバイデン氏の出席を歓迎した。

日ASEAN首脳会議 23年は日本で開催 岸田首相が意向表明

岸田文雄首相は10月27日、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳とオンラインで協議した。この中で①新型コロナウイルス禍の克服に向けた支援②「自由で開かれたインド太平洋」実現への協力呼び掛け-などを行った。
また、日ASEAN首脳会議に関し、「2023年には日本に迎え、日ASEAN関係を新たなステージに引き上げたい」との意向を表明した。
コロナ禍克服に向け日本はこれまでにASEAN諸国に1,600万回分以上のワクチンを供与し、累計320億円ほどの無償資金協力を実施している。また、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、法の支配、包摂性、透明性など「本質的な原則を強化することに資する具体的な協力を確実に進めていく」と強調した。

岸田首相「経済的威圧に強く反対」東アジア首脳会議で言及

外務省によると、岸田文雄首相は10月27日、東アジア首脳会議(EAS)のメンバーによるオンライン協議で地域情勢について触れ、中国を念頭に「経済的威圧に強く反対する」と述べた。
首相は沖縄県・尖閣諸島の周辺海域での中国公船の侵入を踏まえ「東シナ海で日本の主権を侵害する活動が継続している」と指摘。「南シナ海でも緊張を高める活動や法の支配に逆行する動きがみられる」と強調した。このほか、首相は香港や新疆ウイグル自治区などでの人権状況に関し、「懸念」を表明した。

G7貿易相会合 供給網から強制労働排除 ウイグル念頭に

G7(主要7カ国)は10月22日開いた貿易相会合で、国際的なサプライチェーン(供給・調達網)から強制労働を排除する仕組みづくりで一致した。採択した共同声明では名指しは避けたが、新疆ウイグル自治区で疑われる中国当局による人権抑圧を念頭に置いたもの。G7が強制労働の排除へ具体的な対応の方向性を打ち出すのは今回が初めて。
会合は英国・ロンドンでの対面とオンライン形式を組み合わせて開かれた。日本からは萩生田光一経済産業相がオンラインで参加した。

脱炭素へ石炭火力で深い溝 急ぐEUと慎重な中国・インド

第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を前に、それぞれの国内事情を抱え意見の相違が出始めている。石炭火力発電の使用を当面維持したい中国やインドなどと、早急な休廃止を求める英国やEUの溝とくに鮮明だ。
国連では新たな気温上昇シナリオも公表され、気候変動対策の重要性は増しているが、実効性のある合意に向けては課題が多い。
COP26は10月末に英国で開かれる。早急な合意形成が求められているが、ハードルは高く一律の合意に至るかは極めて不透明だ。

JICA ベトナム・ハノイの鉄道学校における人材育成を支援

国際協力機構(JICA)は10月20日、ベトナムの首都ハノイで同国政府との間で、技術協力プロジェクト「鉄道学校における都市鉄道研修能力強化プロジェクトに関する討議議事録に署名した。
べトナム鉄道学校で、都市鉄道研修組織の設立、研修カリキュラムや教材の策定等を実施することで、ベトナム都市鉄道を安全かつ正確に運行し、適切な維持管路を行っていくための人材を、長期的かつ安定的に育成する。対象地域はハノイ市ほか。

JICA カンボジア第二期上水道拡張事業に63億円の円借款

国際協力機構(JICA)は10月21日、カンボジアの首都プノンペンで同国政府との間で、同国第3の都市シェムリアップ市の上水道拡張事業(第二期)を対象として63億3,600万円を限度とする円借款貸し付け契約に調印したと発表した。これはアンコールワット遺跡群を擁し、観光客の急速な増加と都市化が進むシェムリアップ市の取水施設、浄水場、配水管等からなる上水道設備の整備を行い、安全かつ安定的な上水道サービスの普及を図るもの。これにより、同市の生活環境の改善、観光産業の振興に寄与する。同事業に対して、第一期の円借款71億6,100万円を供与済み。

脱炭素へ日越両政府が二国間クレジット制度延長で覚書

日本とベトナム両政府は10月14日、温室効果ガス削減に取り組む「二国間クレジット制度(JCM)」の協力を延長する覚書を交わした。カーボンニュートラルに向けた協力の一環。JCMは2013年にベトナムで実施開始されて以来、現在までに39件の案件を採択し、ベトナムにおける脱炭素技術・インフラの推進と、温室効果ガス削減に寄与してきている。

ミャンマー国軍トップ招かず ASEAN首脳会議 約束不履行で

東南アジア諸国連合(ASEAN)は10月26日から3日間開く首脳会議と関連会議に、ミャンマー国軍のミン・アウン・フライン総司令官を招かない方針を固めた。オンライン形式で開いた15日の緊急外相会議で最終調整した。
ミャンマーを除くASEAN9カ国は4月、国軍側に特使の受け入れ、市民への暴力停止など5点を求めたが、多くが守られていないと判断。今回の会合では排除することを決めた。