『KANO』観客投票1位でも無冠 台湾第51回金馬奨
台湾のアカデミー賞ともいわれる映画賞「第51回金馬奨」が11月22日、台北市で発表された。日本統治時代を描いた台湾映画『KANO』は作品賞など6部門でノミネートされていたが無冠に終わった。前日には、観客投票で1位となり、観客賞と国際批評家連盟賞に輝いていただけに、ネット上では「中国に配慮したのでは」などと、審査・選考結果を疑問視する声が挙がった。
台湾の23日付「自由時報」は、中国当局が金馬奨関連でこの作品に関する報道を禁じる通知をメディアに出したため、中国では報じられなかったと伝えた。また、「審査委員会は中国に協力して『KANO』を封殺したのか」とも報じた。対日強硬論を展開することで知られる中国の国際情報紙「環球時報」のサイトは、各部門の候補リストを掲載したが、『KANO』は削除されている。
『KANO』は、日本統治時代の1931年、台湾代表として夏の甲子園に初出場し準優勝した嘉義(かぎ)農林学校(嘉農)野球部の実話が基になっている。台湾の漢族や先住民族、日本人が力を合わせ、甲子園出場の夢に向かって邁進する姿を描き、セリフの9割が日本語だ。2月に台湾で公開されてヒットし、作品賞のほか、主演の永瀬正敏さんが主演男優賞、馬志翔監督が新人監督賞の候補に挙がっていた。毎日新聞が報じた。