東芝のイスラムの礼拝時間知らせるテレビがヒット
東芝の新興国向け「パワーテレビ」シリーズで、2012年6月から販売開始したインドネシア向けの機種にイスラム教の礼拝時間、アザーンに合わせてアラームが鳴る機能を搭載した製品が、割高にもかかわらず売れ行きがよくヒット商品となっている。インドネシアのテレビ市場で東芝のシェアは約2割で、首位の韓国LG電子(シェア約3割)に次ぐ2位だが、この独自機能を搭載した機種で追撃中だ。同国では約280万ルピア(32型、約2万8000円)と中価格帯の機種だが、ジェトロの調べによると首都ジャカルタの非製造業労働者の平均月収は約349万ルピア(3万5000円)だから、この価格は決して安くはない。
アザーンの具体的な時間は祈る場所の日の出、日没の時刻で決まる。ところが、正確なアザーンを知るのは意外と難しい。そこで、同社ではテレビにインドネシア国内256カ所を登録、自分のいる地域を選ぶだけで、アザーンに合わせ正確にアラームを鳴らせるようにしたのだ。インドネシアの東端と西端は約5000㌔だ。これは米国の東海岸と西海岸とほぼ同じ距離。容易な作業ではない。
また、同社はこのテレビに様々な便利機能を搭載したこともヒット要因になっている。受信電波の増幅器を内蔵しているほか、民生用の液晶テレビとして世界で初めて蓄電池を装備、不慮の停電に遭っても約2時間視聴できるようにしているという。同社のパワーテレビシリーズは現在計11カ国以上で発売され、2013年3月末までに630万台を販売している。