「ハラル」認証めぐり、日本の中小企業が奮戦中

「ハラル」認証めぐり、日本の中小企業が奮戦中
 イスラム圏諸国とのビジネスを始めるにあたり、避けて通れないのが「ハラル」認定制度だ。このため、いま日本でもハラル認証をめぐる動きが活発化している。アラビア語で「許された」との意味を持つ「ハラル」はイスラム圏諸国で商品販売やサービスを始める際に、この認証を取得していれば、文字通り”お墨付き”となる制度だ。しかし、様々な安全基準にイスラム教の戒律に合致しているか否かを加味したもので、審査には複雑で細かい条件がある。
 日本では味の素やキューピーなどの大手企業が厳しい条件をクリアしてハラル認証を得ているが、いま奮戦中で健闘しているのが地方の中小企業だ。
 例えば、使用する器具や方法にも細かい条件がある精肉については、2010年に青森県八戸市の食品加工のグローバルフィールドが、地元の青森県農産物生産組合が協同で商品化した鶏肉「青森シャモロック」のハラル認証を取得した。現時点では「ハラールチキン」(ミンチが冷凍1パック1㌔当たり3800円)などを日本在住のイスラム教徒向けに展開中だ。
 また意外だが、日本の伝統食材、味噌や醤油を取り扱う企業もハラル認証取得に積極的だ。これは欧米などと同様、今後はイスラム圏諸国でも認知されるのに伴い、”ヘルシー”と人気が高まるとみられる日本食の消費拡大を見越したもの。2011年にハラル認証を得た佐賀県西松浦郡の原田醤油店は、自社商品「濃口醤油」のイスラム圏諸国への販路拡大を目指している。味噌では2012年に長野県諏訪郡のひかり味噌が取得。2013年1月からマレーシア向けに出荷している。このほか、埼玉県上尾市の井上スパイス工業がカレー粉やスパイス商品のハラル認証を受け、輸出向け商品の開発に取り組んでいる。