もしもの事態に備える心肺蘇生法 JJC・原医師に聞く
不意に胸部に加わった衝撃で、心臓の筋肉が痙攣し、ポンプ作用を果たさなくなる心室細動は、子供の突然死の原因の一つになっている。大人の場合には心筋梗塞などで起こることがある。日本でも心肺停止状態で病院に搬送される患者のうち、助かるケースのほとんどは、搬送前から心肺蘇生が施されているケースだという。脳への血流確保が生死の分岐点というわけだ。
渋滞などで早期の病院搬送が難しいインドネシアではなおさら、いざという時の備えとして頭に入れておきたい心肺蘇生法。ジャカルタ・ジャパンクラブ(JCC)医療相談室の原稔医師に、そのポイントを説明してもらった。
事故発生直後は、呼び掛けて意識の有無を確かめ、反応がなければ頚動脈に触れて脈を取る。うつ伏せになっていれば、頭と体が一直線になるよう、複数人で支えながら仰向けにする。反応がなく脈拍が確認できない場合、すぐに心臓マッサージを始める。患者の乳首と乳首を結ぶ線の中心に手のひらの付け根を当て、1分間に100回以上のペースで圧迫する。肘を伸ばし、肩が手のひらの真上にくるようにして体重をかけ、胸が少なくとも5㌢沈むくらい押す。額を押しながらあごを上げ、気道を確保した上で、2回呼気を吹き込む。1回1秒かけて息を吹き込み、胸の上がりを確認する。
AED到着後は、AEDの音声案内や説明表示に合わせ、パッドを胸に貼り付ける。AEDが脈拍を確認する際にはアナウンスがあり、患者に触れてはいけない。必要に応じ電気ショックが適応される。その後、音声の合図で心臓マッサージを再開、以後アナウンスの指示に従う。