「スーチー大統領」実現へ水面下の交渉 ミャンマー

「スーチー大統領」実現へ水面下の交渉 ミャンマー

ミャンマーの首都ネピドーで2月1日、2015年11月の総選挙後、最初の国会が開会した。目下、最大の注目点は国会での次期大統領選。現在、アウンサンスーチー氏(70)率いる与党、国民民主連盟(NLD)と、国政に絶大な影響力を持つ国軍との間で、「スーチー大統領」実現に向けた水面下の交渉が続けられているもようだ。
スーチー大統領実現のハードルは極めて高い。そもそもミャンマーの憲法上、スーチー氏は親族が英国籍のため大統領資格がない。ところが、スーチー氏は総選挙で圧勝後、マスコミに対して「私は大統領の上に立つ」と公言。国家元首である大統領に自らの”傀儡(かいらい)”を据えて実権を握る決意を示している。
とはいえ現時点では、NLD関係筋は「スーチー大統領の誕生を最優先に国軍と交渉している」と明かしている。そのため交渉では、憲法改正は時間的に困難なことから、大統領資格に絡む憲法条項(59条F)を大統領任期の5年に限り一時凍結する案が提示され、協議されているようだ。凍結案が国会に発議されれば、過半数の賛成で成立する。
しかし「憲法の守護者」を任じる国軍が、NLDが提起する大統領資格の一時凍結案を容認するのか。国軍が拒否すれば、NLDが「国民の意思だ」と強調する「スーチー大統領」案は一気に遠ざかる可能性があり、交渉の行方は予断を許さない。