スマトラゾウ絶滅の危機 ”害獣”視され毒殺増加

 インドネシアのスマトラ島でスマトラゾウが毒殺される事件が増加している。象牙目当てに加え、パーム油の原料、アブラヤシ畑を荒らす「害獣」として駆除対象になっているとみられ、自然保護団体はインドネシア政府に対策強化を求めている。
 世界自然保護基金(WWF)リアウ事務所によると、スマトラ島中部のリアウ州で2011年に殺害されたスマトラゾウは15頭に上り、前年の5頭から3倍に増加。同島北部のアチェ州でも殺害されたとみられるスマトラゾウは8頭に上っている。いずれも毒殺で、死骸の多くはアブラヤシ油畑の近くで発見された。容疑者は一人も検挙されていないという。
 スマトラ島では1980年代から製紙用の植林やアブラヤシ農園開発が本格化し、ゾウの本来の生息地である低地林の3分の2が失われた。現在の生息数は2600頭前後とみられ、1985年の推定数からほぼ半減している。WWFは有効な対策が取られなければ、スマトラゾウは30年以内に絶滅すると予測している。