減速懸念強まるインドネシア経済 成長率5.8%に低下も

減速懸念強まるインドネシア経済 成長率5.8%に低下も
 インドネシア中央銀行の、加速するインフレ抑制や通貨ルピア安に歯止めをかけるための6月に続く連続での利上げの実施など、近年6%台の安定した成長を続けてきたインドネシア経済に減速懸念が強まってきた。中銀のマルトワルドヨ総裁も7月11日、政策金利を0.5%引き上げ6.5%とすることを発表した際、持続的な成長を守るための決定だとし、2013年の成長率が前年の6.2%から5.8%に低下する可能性を示唆した。
 中銀は6月、15カ月連続で据え置いていた政策金利を0.25%引き上げたばかり。矢継ぎ早の利上げの背景には、国内外の経済情勢の大きな変動がある。12年半ばから、中国など新興国向けの石炭やパーム油などの資源輸出が収縮。その一方で内需や輸入が活況なことから同年は貿易収支、経常収支ともに赤字に転落した。通貨ルピアは現在1ドル=1万ルピア近辺で推移しており、8500ルピア前後だった11年7月から15%近く下落している。
 ルピア安による輸入物価の上昇に加え、政府は6月22日、懸案となっていた補助金付きレギュラーガソリン、軽油の値上げを断行。7~8月は学校の休暇やイスラム教のラマダン(断食月)と重なり例年、物価の上昇圧力が高まる。この結果、6月に5.9%だったインフレ率は、7月は7%を超える見通しとなっている。
 若年層人口が多く、内需が拡大するインドネシアでは、経済成長率が6%を下回ると、失業者が増え、社会問題が広がるとみられている。それだけに6%成長の維持は至上命題でもある。政府は極めて難しい経済運営を迫られている。