高コストでインドネシアのシェールガス開発は事業化難
豊富な埋蔵量が推計されているにもかかわらず、インドネシアのシェールガス開発は高コストが最大のネックで、当面、事業家の見通しは薄い。地元紙によると、インドネシアではエネルギー鉱物資源省が国内のシェールガス埋蔵量を16兆3000億立方㍍と推計している。ところが、同国のシェールガス開発の根本的な問題は、従来型の天然ガスに比べて生産コストが大幅に高いことだ。
インドネシアではシェールガスを含む頁岩(けつがん)層が北米よりもさらに深層にあるため、ガスを採掘するガス井1本当たりのコストはおよそ800万㌦(約7億9800万円)だ。これに対し、北米の同コスト水準はわずか200万~300万㌦だ。最大4倍の差がある。これにより、北米ではシェールガスの登場がエネルギー市場に極めて大きなインパクトを与えた。それも北米では、シェールガスでも十分に採算が取れるほど天然ガスの相場が上昇していたからだ。
これに対し、インドネシアの事情は全く異なる。国営石油会社、プルタミナのシェールガス開発部門幹部は、インフラの欠如が最大の障壁だと指摘する。ガスはパイプラインを経由するか、液化した状態でしか輸送できないが、国営ガス供給会社の所有するパイプライン網は、全長およそ5000㌔。一方、米国のパイプライン網は400万㌔に及ぶ。こんな実状から判断して、同国のシェールガスが注目を集めるのは、他のエネルギー資源が枯渇してきたときのことだろう。