正倉院宝物の楽器と類似のゾロアスター教板絵を発見
帝塚山大学(奈良市)のチームはウズベキスタン考古学研究所との共同調査で、8世紀初頭に焼失したウズベキスタンにあるシルクロード都市の遺跡「カフィル・カラ城」で、正倉院宝物に似た楽器が描かれたゾロアスター教関連の板絵が出土したと発表した。
木製で縦約1.3㍍、横約1.4㍍の4段構成。最上段に獅子に腰掛ける女神ナナー、下段に”くご”と呼ばれるハープに似た弦楽器や琵琶とみられる楽器を奏でる楽隊、火や供物を捧げる人が浮き彫りされている。炭化しているが、祭礼の場面とみられ、同様の板絵が完全な状態で発掘されたのは世界初という。
シルクロード交易を担ったソグド人は、西域文化の日本への伝来に重要な役割を果たしたことで知られ、これらの楽器も似たものが正倉院に伝わっている。
遺跡は中央アジア最大のシルクロード都市があったサマルカンドの東南約30㌔㍍にある。ソグド人の王の離宮で軍事拠点でもあったと考えられる。周辺の火災層や出土貨幣から、710年にイスラム勢力に攻められた際に焼け落ちたとみられる。