遅れる首都の洪水対策 長期的には地盤沈下も懸念材料

遅れる首都の洪水対策 長期的には地盤沈下も懸念材料
 12月から1、2月に雨季のピークを迎えるインドネシア。ジャカルタ特別州政府の治水事業は予算および重機など機器の不足から遅々として進んでおらず、実施できたのは洪水対策の20%程度といわれる。このままでは5年に1度とされるほどの大洪水に見舞われ、首都機能が完全にマヒした今年1月の二の舞になる恐れが指摘される事態となっている。
 同州の洪水対策は洪水頻発地域200カ所、160河川、12貯水池のそれぞれ改修、雨水を浸透させる「浸透井戸」1958基の設置などだが、同州内の884本の河川が約30年間にわたり1度も改修されていないほか、排水ポンプ73台のうち11台は故障している。貯水池の容積拡大も目標の20%にとどまっている。
 首都ではおよそ5年に1度、大洪水が起きて、成すすべもないまま被害を出し、今年の1月の大洪水の被害額は約20兆ルピアに上った。洪水対策の大幅な遅れとともに、被害額を増幅させる懸念があるのが、進行する首都圏の地盤沈下だ。公共事業省のデータによると、2011年時点でジャカルタの土地の40%が海抜ゼロメートル地帯にある。そして、2020年には首都の半分のエリアが海抜以下になるという。生活用水確保に地下水を汲み上げるため、その結果、地盤沈下が進んでいるのだ。