首都圏の進まぬ洪水対策で州と中央政府対立が浮き彫り
1月12、13日の豪雨による洪水でインドネシア首都圏広域が冠水し、一時5000人以上もの避難民が出る事態となったことで、昨年の首都大洪水後も対策が進んでいないことが露呈。4月の総選挙を控え、このことでジャカルタ特別州と中央政府の対立が浮き彫りになりつつある。
ジョコウィ知事は、「治水は地方政府だけではできない」と中央政府の指導力不足と、中央の各省庁に小分けされた縦割りの弊害を批判。これは改修が必要な州内13河川は公共事業省が管理し、州の管理は小川のみに限られている現実があるからだ。喫緊の課題として求められているのは、首都ジャカルタ特別州の洪水対策だが、州独自でやれることには大きな制約があり、権限の強い中央政府の協力なしには遂行できないというわけだ。
さしあたり洪水対策で即効性があると思われるのはチリウン川の改修。西ジャワ州ボゴールからの水を集めるチリウン川を治めるのが最も効率的だ。だが、これが遅々として進まない大きな理由は中央政府がイニシャティブを発揮しないためだ。この治水は公共事業省が進める。州政府は土地収用、住民の立ち退きなどで協力する。ただ、州内で立ち退き先の公営住宅(団地)の建設地を見つけづらく、州政府の脆弱な財政では多くの団地建設は難しい。中央政府事業による団地でも、いくつもの省庁をまたがらなくてはならない場合もあり、行政処理に時間がかかる。それだけに、ここで省庁の垣根を越えた決断ができる指導力が、いまこそ求められている。