インドネシアで効果が上がらぬ人材育成に懸念広がる
インドネシアで予算投入に注力しているにも拘わらず、効果が上がらない人材育成に懸念が広がっている。同国政府は2014年の国家予算約1800兆ルピア(約16兆200億円)の2割強に相当する368兆9000億ルピアを教育関連に充てるなど人材育成に注力する姿勢を示しているが、効果が上がっていないとの指摘が後を絶たない。ジャカルタ・ポストなどが報じた。
同国のブティオノ副大統領は「雇用者側は人材確保に苦しんでいるという報告が増えている」と述べ、市場が求める人材を供給できなければ、持続的な経済成長は望めない」との懸念を表明している。国際労働機関(ILO)は2013年の報告書で、インドネシアの労働市場について「教育が十分に施されていないために、求人要件を満たさない労働者が多い」と指摘。単純労働などの雇用が増加している一方で、大卒のレベルの採用数は横ばいが続いていると解説している。
米調査会社ボストン・コンサルティング・グループによると、同国の該当年齢者の大学在籍率は20%とブラジルや中国など他の新興国と比較して低い。同社はこのままではインドネシアが20年までに深刻な人材不足に陥る可能性があると警鐘を鳴らしている。インドネシアは高等教育の内容などにも問題を抱えている。英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが毎年発表する世界大学ランキングの最新版で、上位400位以内に入ったインドネシアの大学は360位のガジャマダ大学、369位のバンドン工科大学、395位のインドネシア大学の3大学のみだった。