タイで戒厳令 流血回避へ軍動く 事態収拾見えず

タイで戒厳令 流血回避へ軍動く 事態収拾見えず

 政情混迷が深まるタイで国軍が再び動く事態となっている。5月20日未明に全土に戒厳令が発令され、政府や警察に代わって治安維持など強い権限を握った。タクシン元首相派と反タクシン派がともに首都バンコクで大規模デモを繰り広げる中、流血の事態を回避するため、事態収拾への“仲介者”として踏み込んだ形。

 ただ、過去のクーデターとワンセットの戒厳令とは異なり、今回の戒厳令は異例だ。足元ではまだ大規模な衝突は起きていない。国民には通常の生活を送ってほしいと呼び掛け、夜間外出禁止令も見送られている。

 タイでは5月7日にタクシン派のインラック前首相が失職し、二ワットタムロン副首相が首相代行として選挙管理内閣を率いる。あくまで選挙を通じた事態打開を目指すタクシン派。これに対し、暫定政権の樹立を訴える反タクシン派。事態は収拾へ向かうどころか、双方の攻防は上院も巻き込んで激しさを増している。