中国での旧日本軍の戦時兵器処理施設、年内稼働へ

中国での旧日本軍の戦時兵器処理施設、年内稼働へ

 日本政府は旧日本軍が中国に残した遺棄化学兵器を安全に処理するため、中国東北部に新設する処理施設を年内に稼働させる方針だ。化学砲弾などの処理能力を現在の2倍の年間2万4000発に向上させるとともに、2~3年後の施設増設も検討する。2022年までに処理を終える目標実現に大きく前進することで、冷え込んだ日中関係改善の糸口にする狙いがある。

 1997年に発効された化学兵器禁止条約で、日本は旧日本軍が中国に残した化学兵器を処理する義務を負う。マスタード剤や窒息剤などを含む砲弾30万~40万発が埋まっているとされ、00年からの発掘・回収事業により南京や石家荘などで約5万発を回収し、うち約4万発の処理を終えた。費用全額が日本の負担だ。これまでは年間1万2000発程度の処理数が限界だった。

 吉林省ハルバ嶺に建設している新施設は高温の炉で砲弾を燃焼させるしくみで、作業効率の大幅な向上が見込める。日本経済新聞が報じた。