貿易収支改善へ輸入規制強めるインドネシア
インドネシア政府が輸入規制を強めている。1月からイモやトウガラシなど13種類の生鮮農産物の輸入停止したのに続き、電子機器や繊維など21分野の商品でも、輸入を実質的に制限する制度を導入した。貿易省は輸入業者に対し、3月末までに輸入許可を再取得することを義務付けた。再取得の際の条件を厳格にするのが狙いだ。その結果、一部の中小業者は許可を取得できない可能性がある。
こうした輸入規制強化の背景にあるのは、貿易収支の急速な悪化で、これを受けて通貨ルピア安が加速しているためだ。米欧や中国などの需要減退により資源輸出が縮小する一方で、旺盛な内需を背景に生産財や生活必需品などの輸入が膨らんだため、12年の貿易収支は16億3000万㌦の赤字に転落。13年も貿易赤字は続く見通しだ。
通貨ルピア安にも歯止めが掛からない。足元では対ドルで1㌦=9700ルピア前後と09年後半以来の安値水準で推移している。通貨安は輸入物価の上昇を招き、国民生活に悪影響を与える。政府は輸入規制で貿易収支を改善し、輸入物価上昇を招く通貨安に歯止めを掛ける考えだ。だが、現実にはルピア安に歯止めは掛からず、2月の消費者物価上昇率は5.31%と前月の4.57%から急上昇した。農産物の輸入縮小で需給が逼迫し、かえって物価が上昇するという皮肉な結果を招いている。