震災被災者が農地求めベトナムで育てる“日本米”
津波で被災した宮城県岩沼市の農家、村上和之さん(42)が今夏からベトナムで日本米の栽培を始める。震災前から海外へのコメ輸出を考えていたが、東京電力福島第一原発事故の影響で、いまだに日本からの輸入を禁じたり、制約を設けている国も多い。
そこで、村上さんは人件費の安いベトナムで、日本式農法により栽培した安全・安心でおいしいコメを中国や東南アジア諸国へ直接輸出することを決めた。ベトナム・ホーチミン市近郊に農地を確保し、「海外で日本の農産物を広め、日本の若者が農業に関心を持つきっかけをつくりたい」と意気込む。
村上さんは岩沼市で代々続く農家。コメや野菜を育ててきたが、震災で自宅が全壊し、耕作する30㌶の農地がすべて海水に浸かり、農機具や在庫も跡形もなく流された。しかも宮城県産農産物は中国やタイ、シンガポールなど35の国・地域でいまも規制措置が取られているという。
現地の日系企業を通じてホーチミン近郊の農地3㌶を借り、ベトナム農家を雇うことが決まった。起業の支援を行う独立行政法人の補助を受け、人件費や資材費など初期費用を確保。7月上旬に現地入りする。育てるのは「ひとめぼれ」などで、5年後にはベトナムを中心に、農地を100㌶にまで拡大する計画だ。読売新聞が報じた。