土地収用が難航、大型インフラ開発に立ちはだかる”障害”

 インドネシアで政府や企業による土地収用が難航、発電所など大型のインフラ開発が遅れる例が相次いでいる。Jパワーや伊藤忠商事が共同で計画する中部ジャワ州の40億㌦(3200億円)規模の発電事業は、土地収用の手続きが終わらないため、開始が1年ほど遅れる見通しだ。
 ジャカルタ郊外にあるスカルノ・ハッタ国際空港と住宅地を結ぶ6兆ルピア(約500億円)規模の高速道路の建設計画でも、土地収用が問題化。完成すれば渋滞解消につながると期待されるものの、住民は政府提案の約7倍の補償金を求め、交渉は難航している。
 ジャカルタに次ぐ第2の都市・スラバヤと工業団地があるモジョケルトを結ぶ約36㌔㍍の高速道路も13年から14年以降に遅れる見通し。9月には住民が政府提案の3倍の補償金を求め、すでに開通している区間を封鎖する騒ぎが起きている。
 とはいえ、インドネシアは14年に大統領・国会選を控えており、当局が住民の不満や不興を買いかねない土地収用を、強引には進めにくい事情がある。