ジャカルタ富裕層にSAKE人気高まる 専門バー開業

ジャカルタ富裕層にSAKE人気高まる  専門バー開業

世界的な和食ブームを背景に、日本酒(SAKE)人気が高まり、その波がムスリムの国、インドネシア・ジャカルタへも寄せ始めている。南ジャカルタ・スノパティ通りで9月3日、インドネシアで初めてと思われる日本酒をメインにしたバー「sake+」がオープン。関係者はじめ日本の酒造メーカー各社を招き、その開店式典が執り行われた。

参加者は日本の酒造メーカー含め、その日本酒への”こだわり”ぶりに目を見張るほどだった。月桂冠の担当者は「ここまで日本酒を前面に出すレストランは、日本や他の東南アジア諸国でも見たことがない」と驚きの表情で語っている。それもそのはず、入り口を抜けると日本酒や焼酎、梅酒などの棚がずらりと並んでいたからだ。この日本酒専門バー出店の背景には、富裕層の間での日本酒に対する人気の高まりがある。

ただ、インドネシアは人口の約9割がムスリムの国であり、日本の酒造各社が企図する日本酒の輸出市場拡大にはまだ極めて高いハードルが控えている。一番の課題は申請から認可まで最速でも半年、長ければ1年ほどかかるという認可手続きだ。また、日本酒の高い関税も普及を妨げている。現地では日本の価格の3倍以上になっているという。これではジャカルタでも富裕層にしか、なかなか手が届かない。

こうした状況を反映、財務省の貿易統計によると、2013年の日本酒輸出額でインドネシアは21位の4400万円。10年の2600万円から順調に伸びているが、1位の米国(39億6000万円)に比べると、まだまだ微々たるものだ。シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナムなどに比べても少ない。

とはいえ、ジャカルタでは「日本食には”サケ”。のどにグッとくる熱燗が好き」とか「10年前に日本酒を飲んで以来、日本食を食べる時は(日本酒が)欠かせない」といった人が着実に増えていることは確かだ。「インドネシアでは日本酒にバナナやライチを混ぜてカクテルにしたものが好まれている」(大関の担当者)など現地の多様な受け入れ方、楽しみ方も加わり、着実な浸透と広がりが期待できそうだ。