11/24に都内で日本・ベトナム首脳会談 対中戦略で関係強化

岸田文雄首相は11月24日に都内でベトナムのファム・ミン・チン首相と会談する。国際介護の場を除くと対面で会談する初めての海外の首脳になる。東南アジア諸国連合(ASEAN)の対中戦略に関わる重要な国として関係を強化する。チン氏は22日に来日し、25日まで滞在する。両氏は11月初旬に英国で開かれたCOP26の際にも短時間、会談している。

林外相に中国から訪中要請 問題山積も当面静観の様相

林芳正外相は11月21日、中国の王毅国務委員兼外相と18日に電話協議した際、訪中の要請を受けたことを明らかにした。日程は現段階で決まっていないが、今後調整していくと説明している。政府内で訪中の可否や時期を検討する。外相の訪中が実現すれば、2019年12月以来となる。
日中間には中国による沖縄県・尖閣諸島での領海侵入や台湾への軍事的威圧など問題が山積している。2022年は日中国交正常化から50周年の節目にあたる。ただ1昨年来、先送りされている習近平国家主席の国賓待遇での来日に、岸田文雄首相が「日程調整する段階にない」ことを繰り返している。このほか、2022年2月の北京冬季五輪に、米国のバイデン大統領が中国の人権問題を理由に、政府高官らを派遣しない「外交ボイコット」の検討を表明しており、日本の同調を求める声が高まる可能性があり、当面静観せざるを得ないとの慎重論が支配的だ。

ミャンマー情勢打開へ連携 日本・ブルネイ外相が電話会談

林芳正外相は11月17日、今年のASEAN(東南アジア諸国連合)議長国ブルネイのエルワン第2外相と電話会談し、国軍のクーデターによる混乱が続くミャンマー情勢の打開に向けて連携する方針で一致した。ASEANはエルワン氏を対話による解決を促す特使に任命したが、ミャンマー軍政は訪問を受け入れていない。林氏はエルワン氏の訪問実現に期待感を示したうえで、ASEANの取り組みを後押しすると伝えた。

気温上昇「1.5度に抑える努力を追求」で採択しCOP26閉幕

国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は11月13日、産業革命前からの気温上昇について「1.5度に抑えるための努力を追求すると決意する」とした成果文書を採択して閉幕した。この実現については困難さを理解しながらも、国連会議として地球規模の大きな課題に対する取り組みとしてあるべき目標を掲げることの重要性を認識し、前回のパリ協定の精神を堅持した。

石炭火力を「段階的削減」 延長のCOP26 合意文書を採択

第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)は11月13日、合意文書「グラスゴー気候インパクト」を採択した。最大の焦点だった石炭火力発電の利用について、当初の文書案から表現を弱め、「段階的な廃止」から「段階的な削減」に変更した。議長国の英国は、石炭火力の”段階的な廃止”に強くこだわっていた。だが、インドなどの反発が強く、当初案に比べて表現を後退させた。
COP26は10月31日に開幕し、会期は11月12日までの予定だった。しかし交渉が難航し、会期を延長して議論を続けていた。議長国の英国が各国との協議を経て13日朝、新しい合意案を公表し、これを基に各国と交渉していた。
2022年のCOP27はエジプトで、2023年のCOP28はアラブ首長国連邦(UAE)で開くことも固まった。

「持続可能な回復を確保」APEC閣僚会議が共同声明

日本、米国、中国など21カ国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議は11月9日、オンライン形式で2日間の協議を終え閉幕した。
共同声明では、コロナ下で電子決済や法的効力を持つ電子文書が普及したことに触れ、ペーパーレス化で貿易を円滑にする取り組みが進んだと評価。感染拡大防止のための渡航制限を受けた経済損失にも言及し、ウイルスを抑制しながら社会経済活動を再開するための道を開き続ける必要があると指摘。そのうえで、新型コロナで打撃を受けた経済などについて「強靭かつ持続可能な長期にわたる回復を確保する」との共同声明を発表した。
今回の閣僚級の合意を踏まえ、12日に首脳間で協議する。

OPECプラス 12月の追加増産見送り 消費国の要請に応じず

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は11月4日、12月の原油の追加増産を見送った。日米など原油高に苦慮する消費国が、コロナが落ち着きをみせている中で、本格的な経済活動再開へ必要な原油の増産加速を求めていたが、応じなかった。
これにより、OPECプラスは毎月日量40万バレルずつ増産する従来の方針を12月も維持することを再確認した。次回協議は12月2日に開く。
原油高は、新型コロナウイルス禍から回復しつつある消費国の経済に重荷となる。

RCEP 2022年1月発効へ TPP上回る経済効果に期待感

東アジアを中心に15カ国が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が2022年1月1日から発効することになった。オーストラリアとニュージーランドが11月2日、RCEP協定の批准手続きを終了した。外務省が3日発表した。この結果、世界経済の3割を占める巨大な自由貿易圏が誕生する。日本にとっては中国、韓国と初めて結ぶ自由貿易協定(FTA)が動き出す。
日本政府は協定発効に伴う関税撤廃・削減などで部品や素材の輸出が増え、日本の国内総生産(GDP)を約2.7%押し上げる効果があると試算する。環太平洋経済連携協定(TPP)と比べると、国有企業改革、環境、労働問題の協定を盛り込んでおらず、ルールの水準は低めだが、経済効果では米国が抜けたTPPを上回る。
参加国は日本、中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN10カ国)、オーストラリア、ニュージーランドの15カ国。