万博外国パビリオン工事費未払い「被害者の会」設立

大阪・関西万博のアンゴラパビリオンの下請け業者間の工事費の未払い状態が続いており、当事者が5月30日記者会見し、このままでは”万博倒産”しかねないと窮状を訴え、「万博工事代金未払い問題被害者の会」を設立したことを明らかにした。
大型工事の場合、規模に応じて建設工事の元請けから、第1次下請けから第5次・6次下請けまであり、工事を担うケースがある。会見した業者によると、3次下請けの大阪の業者から3月と4月の工事費計4,000万円余が支払われていないことが問題になっている。代金の流れをたどると、アンゴラは元請けの建設会社には工事費用の支払いを終えており、元請けの建設会社も支払いを済ませているという。3次下請け業者が、経営の悪化で工事費を支払っていないことが原因だ。その結果、以後の下請けには自力で資金の調達ができなければ、支払いができないというわけだ。
未払い被害者の業者は、開幕に間に合わないということで、今年2月に急遽、応援依頼を受けた。国家プロジェクトの一部に携わるとの「誇りを持って、何とかしようとの思いで、ほぼ連日夜勤を含めて働いてきた」という。「その結果がこれ。こんな仕打ちはひどい」と怒りの声。
会見した業者のもとには、共に下請けで入った仲間から「家賃を滞納している」とか「生まれたばかりの子どもの生活費はどうなるのか?」など支援を求める嘆きの声が届いている。

米国 党と関係する中国人留学生のビザ「積極取り消し」

米国のルビオ国務長官は5月28日、中国共産党と関係する中国人留学生のビザ(査証)を「積極的に取り消す」と発表した。また、中国からの新たなビザ申請に対する審査を厳格化する方針も示した。
今回の措置について、ルビオ氏は「中国ではなく、米国を第一に置く新たなビザ政策」と題した声明で発表。「重要分野」を専攻する中国人留学生も対象になると指摘。具体的には明示していないが、米中が競う科学技術分野とみられる。
米国際教育研究所によると、2023年度に米国の大学に留学した外国人は約112万6,000人。このうち中国人は約27万7,000人で、インドに次いで2番目に多くなっている。

米国際貿易裁「大統領権限逸脱」相互関税差し止め命令

米国際貿易裁判所は5月28日、トランプ米大統領が発動した「相互関税」など一連の関税措置について、「違法であり無効」と指摘し、恒久的な差し止めを命じた。大統領の権限を逸脱しているとし、10日以内に関税を停止するための行政命令を出すようトランプ政権に求めている。政権側は判決を不服として控訴した。最終的に訴訟が連邦最高裁判所で争われる可能性もある。
判決文によると、政権が発動した関税のうち、差し止めの対象となるのは国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく措置。政権が貿易赤字の是正を目的に、ほぼすべての国・地域からの輸入品に課した相互関税のほか、合成麻薬フェンタニルの流入を阻止する名目で導入されたカナダ、メキシコ、中国に対する追加関税が該当する。
国際貿易裁は「米国憲法では、関税などを課して徴収する権限は原則として議会が有する」「IEEPAはこのような際限のない権限を大統領に与えていない」とし、一連の関税措置は無効だと指摘している。

経団連会長 筒井氏就任「賃上げ持続には企業の生産性向上」

経団連は5月29日、定時総会を開き十倉雅和会長(74)が退任し、後任に日本生命保険の筒井義信前会長(71)が就任した。筒井氏の任期は2期4年で、初の金融機関出身者となる。
筒井氏は総会の挨拶で「イノベーション(革新)」「税・財政・社会保障」など5分野に重点的に取り組む方針を改めて打ち出した。「労働改革」については、人材の流動化や裁量労働制の積極導入など、国に対して労働法制の見直しを求めていく考えを示した。そのうえで、同氏は「賃金の引き上げを持続可能なものにするには、企業の生産性の改善と向上が伴わなければならない」と強調した。
新たな副会長にはトヨタ自動車の佐藤恒治社長(55)、コマツの小川啓之会長(64)、富士通の時田隆仁社長(62)、みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長(59)の計4氏が就いた。

改正刑法 6/1から施行 懲役と禁錮を「拘禁刑」に一本化 

懲役と禁錮を「拘禁刑」に一本化する改正刑法が6月1日から施行される。受刑者の更生や再犯防止を目的に、従来の刑務作業と新たな指導を組み合わせた柔軟な処遇が実施できるようになる。明治40年(1907年)の刑法制定以来、新しい種類の刑罰が導入されるのは初めて。
拘禁刑は、受刑者を刑事施設に拘置したうえで「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、必要な指導を行うことができる」と規定しており。刑務作業は義務ではなくなる。懲役と禁錮は廃止される。改正のポイントは、従来の刑法が”懲らしめ”にあったのに対し、”立ち直り”に力点を置くもの。
拘禁刑導入の背景には、受刑者の高齢化と再犯状況の悪化がある。2023年に入所した受刑者のうち、65歳以上の割合は14.3%と過去最高となった。体力や認知機能が衰え、作業についていけない受刑者も少なくない。また、同年に刑法犯で検挙された人のうち再犯者の割合も47%に上り、法務省では「懲らしめ」より「立ち直り」に力点を置いた処遇が必要との指摘が出ていた。

4月大阪の訪日客 最多の154万人 単月として過去最高更新

大阪観光局は5月28日、4月に大阪府内を訪れた訪日観光客数(推計)が前年同月比24%増の154万7,000人で、単月として過去最高を更新したと発表した。従来の最高は2025年1月の153万5,000人。新型コロナウイルス禍収束後、訪日客は増加しているうえ、開催中の大阪・関西万博も追い風となっている。
国・地域別にみると、中国が45%増の41万2,000人で最多。次いで韓国が6%増の22万1,000人、台湾が16%増の14万3,000人と続いている。欧米や豪州からの訪日客も増えている。2025年1〜4月累計は571万7,000人となった。前年同期より約3割増えており、通年では1,700万人を超えるペースで推移している。

逮捕・起訴 2審も「違法」国に大川原化工機へ賠償命令

東京高裁は5月28日、精密機械製造会社、大川原化工機(所在地:横浜市)の社長ら3人が外為違反容疑で不当に逮捕・起訴されたとして、国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、1審・東京地裁に続き、警視庁公安部の逮捕と東京地検の起訴を違法とし、東京都と国に計約1億6,600万円の賠償を命じた。
太田晃詳裁判長は「犯罪の嫌疑が成立するとの判断に基本的な問題があった」と述べた。東京高裁は東京地裁と同様に、警視庁公安部も東京地検も、兵器製造に転用可能だとした噴霧乾燥機が、規制対象にあたるか追加捜査を行わなかったとし、「逮捕・起訴の根拠が欠如していることは明らか」と判断。捜査員が法廷で、事件は捏造などと証言したことを重く受け止めるべきだったーーとした。

百日せき 最多の19通年患者数超えリンゴ病も急増 最多 

国立健康危機管理研究寄稿(JIHS)は5月27日、激しいせきが続く「百日せき」と、伝染性紅斑(リンゴ病)の感染者の近況について発表した。百日せきは今年の累計患者が1万9,274人(速報値)となった。年間で最多だった2019年の1万6,845人をすでに超えた。
リンゴ病も急増しており、5月12〜18日に全国の医療機関から報告された患者数が1医療機関あたり2.05人となり、現在の集計方法となった1999年以降で最多となっている。

近未来の最先端情報通信社会を体感 万博「EXPOメッセ」

大阪・関西万博の催事施設「EXPOメッセ」で5月26日、総務省主催の情報通信技術が発達した未来社会を紹介するイベント「Beyond 5G ready ショーケース」が始まった。これは現行の高速・大容量通信規格「5G」より省電力・低遅延の情報通信を活用した最先端技術を、映像や展示、体験で紹介するイベント。6月3日まで。
最先端の無線通信によるロボットの遠隔操作の疑似体験などを通じ、離れていても、人やサービスがほとんど遅延なくつながる技術を体感できる。遠隔操作の海中ロボットは、手を振るなど体の動きに連動して海中のゴミを収集する。モノに触れた感覚を伝える特殊なグラブを使い、遠隔地にいる人やAI(人工知能)のアバター(分身)と、仮想空間内でキャッチボールできる展示もある。

万博会場内3カ所に喫煙所 喫煙者に配慮”全面禁煙”返上

大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)は5月26日、会場内3カ所に喫煙所を整備すると発表した。来場者や関係者の喫煙者の利便性に配慮した対応だと説明している。6月上旬に利用を開始する予定。
万博協会は、今回掲げるテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に沿って、会場内では”全面禁煙”としていたが、海外パビリオンの裏手で、関係者らの喫煙あとが数カ所で確認されていた。また、喫煙所は東ゲートの会場外に設置したものの、遠すぎるとの声が挙がっていた。こうした声に応えて、全面禁煙の看板をを返上した。