日本政府は、企業に対し男女の賃金差の公表を義務付ける方針を固めた。上場・非上場を問わず、301人以上を常時雇用する企業を対象とする。6月に決める、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けた計画に盛り込み、早ければ年内の施行を目指す。男女の対等な評価を通じて人材の多様性を高め、企業の成長につなげる。
コロナ打撃の中小企業向け7兆円支給の事業終了へ
コロナ禍で売り上げが落ちた中小企業などに最大250万円を支給する政府の給付金事業が5月末で終了することが分かった。
緊急事態宣言下の2020年5月に「持続化給付金」として始まった同事業。その後も「一時支援金」「月次支援金」「事業復活支援金」と名称を変え続けられた。その結果、給付は2年間で約852万件で、7兆円を超えた。
給付金事業を終わるのは、ウイズコロナへ、政府は経済活動の「正常化」に舵を切っており、緊急的な支援の必要性も下がっているとの判断からだ。
これら一連の政府の給付金事業により、実質無担保・無利子資金を含めた融資により、生き延びた中小企業は多くそれなりの役割は果たした。このことは近年、企業の倒産件数が低水準に収まったことが如実に物語っている。
ただ、破たんは免れたが、懸念されるのは返済のめどが立たない、借入金が増えただけの、内容が伴っていない企業が相当数に上るとみられることだ。今後、倒産”爆発”のリスクがある。
ウクライナに192万人が帰国 戦禍で厳しさ増す雇用環境
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、5月19日現在でウクライナから640万人が国外に避難したが、192万人が帰国した。これに伴い、同国の求職者数は2月下旬のロシアによる侵攻開始前に近い水準に回復してきたという。一方、求人数は侵攻前の約10万人から2万人未満に落ち込み、労働需給は大きく緩和している。ただ、企業の事業環境を勘案すると、帰国した人たちの暮らしに関わる雇用環境は厳しい。
というのも、戦禍で事業停止に追い込まれた企業や事業規模を縮小した企業が多いからだ。また、戦闘による破壊、物流網の寸断により、円滑な企業活動は望めない。企業を取り巻く事業環境は厳しい。
ウクライナ中央銀行によると、ロシアの軍事侵攻を受け4月下旬時点で同国企業の54%が人員削減し、34%は賃金を引き下げている。ILO(国際労働機関)は4月7日時点で、ロシアの侵攻開始後、ウクライナで全雇用の3割に相当する480万人が失業したとの推計を発表している。