厚生労働省は6月11日、ウイルスを使ってがん細胞を攻撃する日本初の「がんウイルス療法」の新薬の製造販売を承認した。この治療薬は脳腫瘍の一種、悪性神経●腫(こうしゅ)に用いる一般名「テセルパツレブ」。有効性や安全性を7年間確認する条件付きで、第一三共が製造販売する。東京大学医科学研究所が開発を進めていた。
口唇ヘルペスの原因となるウイルスの遺伝子を組み替え、がん細胞だけで増殖できるよう改変し、正常細胞は傷つけず、増殖によりがん細胞を次々と死滅させるという。脳腫瘍では世界初のウイルス療法製品になるという。
北大と塩野義 ウイルス・細菌の高感度検出技術でライセンス契約
北海道大学(本部:北海道札幌市)と塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は6月11日、両者の共同研究により見出した「下水中の新型コロナウイルスを含むすべてのウイルスおよび細菌の高感度検出技術に関する独占的ライセンス契約を締結したと発表した。
これにより、塩野義製薬はこの技術の独占的実施権を取得し、北海道大学に契約一時金およびサービス開始後の販売額に応じたロイヤリティを支払う。
大和証券G本社 中国・北京市の合弁証券がライセンス受領
大和証券グループ本社(本社:東京都千代田区)は6月11日、地場証券会社2社と中国で設立した合弁証券会社、大和証券(中国)有限責任公司(登録地:中国・北京市、以下、大和証券(中国))が同日、中国証券監督管理委員会(以下、CSRC)より、「経営証券先物業務許可証」(以下、ライセンス)を受領したと発表した。
北京で証券会社にCSRCのライセンスが発行されるのは約12年ぶり。大和証券(中国)の資本金は10億人民元で、出資比率は大和証券グループ本社51%、北京国有資本経営管理中心33%、北京煕誠資本控股有限公司16%。
同社は2019年6月、上記2社とともに北京で初めて外資株主が過半数の株式を保有する合弁証券会社を新設することを目指して、準備を進めてきた。
ユニチカ 医療用ガウン向け不織布で高透湿タイプ供給開始
ユニチカトレーディング(所在地:大阪市中央区)は6月10日、医療現場で使用されるアイソレーションガウン向け高機能複合不織布「ユニソフィア」シリーズで、今回新たに高透湿タイプを供給開始したと発表した。
一般的に流通しているアイソレーションガウンでは、低価格の海外品が多く、そのほとんどは防水機能のみのため、医療現場での暑さにはまったく対応していないのが現状。そこで同社は今回、市立東大阪医療センターの協力のもと、高透湿タイプの医療用アイソレーションガウンを共同開発した。従来、背中側にあったマジックテープを前面側に設けたことで、髪の毛等に触れずに安全に脱衣できるようになった。
大企業 景況感 2四半期連続マイナスに 緊急事態が心理的影響
財務省と内閣府が6月11日発表した4~6月期の法人企業景気予測調査は、大企業の全産業の景況判断指数(BSI)がマイナス4.7となり、2四半期連続で悪化した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の再発令が企業心理に影響した。中堅企業はマイナス9.0で、2四半期連続のマイナス。中小企業はマイナス25.5となった。
アズビル シンガポールでビル管理のデジタルシステム開発開始
計測機器大手のアズビル(本社:東京都千代田区)は6月10日、シンガポール経済開発庁の支援を受け、海外向け統合型ビルディング・マネジメントシステム(IBMS)の新デジタルソリューションの開発をシンガポールで開始したと発表した。
建物状態を遠隔で管理するソリューションを構築する。IBMSは、大規模な複合施設の空調、電気、衛生、照明、防犯、エレベーター、駐車場など各種設備のシステムを一括管理することで、エネルギー消費量やテナント情報を効率的に管理できるシステム。将来的にアジア事業で導入する計画。
ENEOS 川崎市に46カ所目の商用水素ステーション開所
ENEOS(本店:東京都千代田区)は6月10日、神奈川県川崎市高津区に「川崎高津水素ステーション」を開所したと発表した。同ステーションは、次世代自動車振興センター「燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業」の採択を受けており、同社46カ所目、首都圏31箇所目の商用水素ステーションとなる。同社は水素の「製造」「輸送」「販売」の効率的なビジネスモデルを構築することを目指す。
日本 中国をステンレス関税でWTOに提訴 2国間協議要請
日本政府は6月11日、中国が日本製ステンレス製品に反ダンピング(不当廉売)関税を課しているのは、国際協定に違反する可能性があるとして、世界貿易機関(WTO)に提訴した。WTOの紛争解決手続きに基づく2国間協議を中国に要請した。
中国は、日本や欧州連合(EU)などからステンレス製品の輸入が急増し、中国国内の産業に損害を与えたとして、2019年7月から課税を開始した。スラブ、熱延鋼板、熱延コイルが対象で、日本製には18.1%か29.0%の関税を課している。
日本政府は、主力輸出品は高価品が多く中国製品と競合しないと強調。日本からの輸出と中国の損害との因果関係について確認が不十分などとして争う予定。日本製は推計で年間約56億円の売り上げの減少があり、関税額は約11億円に上るという。
トヨタ 35年に全世界の工場でCO2実質ゼロ実現へ 目標前倒し
トヨタ自動車は6月11日、脱炭素を見据え、2035年までに全世界の自社工場でカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量の実質ゼロ)を達成するとの目標を発表した。これまで2050年に達成するとしていた目標を大きく前倒しした。
自動車の塗装や、鋳造工程に新技術を取り入れ、生産に伴うCO2排出量を極限まで減らし、あるいはなくす技術を開発し、排出削減を加速させる。再生可能エネルギーの利用も増やしていく。
塩野義製薬 年内にワクチン3,000万人分量産へ 工場新設
塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は国内で治験中の新型コロナウイルスワクチンについて、2021年内に最大3,000万人分の量産体制を整える方針を明らかにした。岐阜県池田町に新工場を建設する。新工場は提携先の医薬品製造会社、ユニジェンの敷地内で5月に着工している。完成すれば既存の池田町の生産設備を合わせ3,000万人分のワクチン製造が可能になる。
また、同社は変異ウイルスに対応するワクチンの開発を進めていることも明らかにした。様々なウイルスに対応したいとし、有効性の検証を急ぐ。