豪州で世界初の水素サプライチェーン構築実証実験 設備公開

川崎重工、電源開発、岩谷産業、丸紅、AGLEnergy Limited、住友商事の6社は3月12日、参画する水素サプライチェーンの実証実験を行うオーストラリア南東部のビクトリア州の褐炭ガス化・水素精製設備を公開した。6社でつくるコンソーシアムは同日現地で、日本とオーストラリア両政府関係者を含めおよそ70人が参加して記念式典を開いた。
これは現地で豊富に産出する褐炭を加熱してガス化、水素を製造する工場と、水素をマイナス253度まで冷却して液化する工場を建設。すでに試運転を始めている。
褐炭は水分や不純物を多く含み、輸出に向いていない。価格は発電用に輸出される石炭のおよそ3分の1と割安。一連の実験が成功すれば、費用を抑えて水素製造が可能になると期待されている。

長崎県五島市離島間でドローン用いオンライン診療の実証実験

ANAホールディングス、武田薬品工業、長崎大学、五島市、NTTドコモなど9者は3月10日、固定翼型垂直離着陸(VTOL)ドローンを用い、往復32kmを超える長崎県五島市離島間でオンライン診療、オンライン服薬指導を実施する実証実験を行うと発表した。この取り組みにより、離島に住む患者が持つ通院へのハードル(通院困難等)の地域医療課題の解決を目指す。
実施期間は3月22~26日。飛行区間は長崎県五島市福江島港~久賀島、片道約16km.実験では定期船と陸路で45分程度かかる行程を約10分で配送する。この実証事業は国土交通省、環境省の連携事業に採択されている。

住友商事 シンガポール船舶向けアンモニア燃料供給で6者と提携

住友商事は3月10日、デンマークのコンテナ船世界最大手APモラ・マークスやシンガポールのケッペル・オフショア・アンド・マリンなどと、シンガポールの港湾で船舶向けグリーンアンモニア燃料供給の事業化を共同で検討することで覚書を交わしたと発表した。
再生可能エネルギーから製造された、CO2を排出しないグリーンアンモニアの供給網開発などを目指す。共同事業化を目指すのは、上記企業のほか、香港のフリート・マネジメント、デンマークのマースクマッキー・モラー、ゼロカーボンシッピング研究所、ノルウェーのヤラ・インターナショナルの6者。

三菱自 欧州市場でルノーから2車種OEM供給 構造改革の一環

三菱自動車工業(本社:東京都港区)は3月10日、欧州市場でアライアンスパートナーのルノーから2車種のOEM供給を受け、欧州市場で自社の販売ネットワークを通じて販売すると発表した。
三菱自動車は2023年を目途に一部州市場における新車販売事業から撤退することを決めており、今回のルノーとのOEM供給の協業はこうした欧州事業構造改革の一環。

JR東日本 北陸新幹線に車いす用フリースペース導入

JR東日本(本社:東京都渋谷区)は3月10日、北陸新幹線「E7系」車両の7号車に7月から車いすスペースを4席に増やすほか、車いすを利用したまま車窓を楽しめるスペースを2席設置すると発表した。7月から施行される「バリアフリー法に基づく公共交通移動等円滑化基準」の改正を受けたもの。

JR東海 車いす6席車両を4月上旬に前倒し導入 法改正で

JR東海は3月10日、東海道新幹線の車いすスペースについて、現在の1編成あたり2席から6席に増やした車両を4月中旬から導入すると発表した。「N700S」の新造分から11号車の座席を7席分取り外し、新たに車いすスペースを4席分増やす。今後導入する28編成が対象で、既存車両は改修しない。
国の基準では7月以降に投入する車両から増やすように求められているが、前倒しする。

テルモ ワクチン1瓶から7回接種の注射器 国内で生産へ

医療機器大手のテルモ(本社:東京都渋谷区)は、米国ファイザー製ワクチン1瓶から7回接種できる注射器を開発した。3月末から甲府工場(所在地:山梨県・昭和町)で生産を始める。2021年度に2,000万本製造する見込み。2022年度は設備を増強して生産量を増やすという。厚生労働省が3月5日に製造販売を承認した。
ファイザー製のワクチンは、国内で使う通常注射器では1瓶から5回しか接種できず、6回打てる特殊な注射器も不足している。ファイザー製ワクチンは針を垂直に深く刺す、筋肉注射が必要。テルモは2021年2月下旬に開発を始め、針の長さを13ミリから16ミリに伸ばして、筋肉まで確実に到達できるようにした。

大黒屋HD 上海に完全子会社設立 北京の合弁会社は解散・清算

中古ブランド品販売を主幹事業とする大黒屋ホールディングス(所在地:東京都港区)は3月8日、中国・上海市に全額出資の子会社を設立すると発表した。3月中に設立する予定。新会社の名称は「上海黛庫商業有限公司」で、登録資本金は5,000万円。中古ブランド品の買い取りや販売のほか、販売事業者への鑑定教育や鑑定代行サービスも行う。
世界最大級のブランド品市場の中国では、中長期的に中古ブランド品市場の成長・拡大が見込まれ、子会社の設立で中国での事業展開を加速させる。
なお、北京市における同国のコングロマリットの中国中信集団(CITIC)傘下のCXBとの折半出資による合弁会社、北京信邦大黒屋商貿有限責任公司は同日、解散・清算すると発表した。

双日 ベトナム乳業ビナミルクGと牛肉製品の販売で合弁

双日は3月9日、ベトナム・デアリ・プロダクツ・ジョイント・ストック・カンパニー(本社:ベトナム・ホーチミン、以下、ビナミルク)のグループ会社、ベトナム・ライブストック・コーポレーション・ジョイント・ストック・カンパニー(所在地:ベトナム・ハノイ、VILICO)と、ベトナムにおける牛肉製品の加工・販売を目的とした合弁会社「ジャパン・ベトナム・ライブストック・カンパニー・リミテッド」(仮称、本社所在地:ベトナム・ハノイ市)を設立することで合意したと発表した。
新会社への出資比率は双日49%、VILICOは51%。双日はこの事業を皮切りに、ベトナムで推進している多くの事業でビナミルクグループとの協業を図り、同国・同地域の持続的な発展に貢献する。

APB,三洋化成,グンゼ 次世代型「全樹脂電池」量産化で覚書

APB(本社:東京都千代田区)、三洋化成工業(本社:京都市東山区)、グンゼ(本社:大阪市北区)の3社は3月9日、APBおよび三洋化成が開発中の次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の樹脂集電体の量産化に向け、3社で協議し、最適な生産および供給体制の構築を目指す覚書を締結したと発表した。
今回の覚書により、樹脂集電体の開発に加え、量産化を見据えた協力体制の締結・強化を確認し、この協業事業は新たなステップ入る。3社は樹脂集電体の最適な生産および供給体制を構築することで、全樹脂電池の量産化を促進し、持続可能な社会の実現に貢献していく。