日本、フィリピン両政府は4月9日、都内で外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)を初開催した。自衛隊とフィリピン軍の共同訓練の拡大に向けた協定を検討する。日本側から林芳正外相と岸信夫防衛相、フィリピン側からロクシン外相とロレンザーナ国防相が出席した。共同声明で、共同訓練に関する「円滑化協定」と物資や役務を融通し合う「物品役務相互提供協定(ACSA)」の締結も含めて検討する方針を明記した。
ロシアのウクライナ侵攻を巡るASEANの対応に、日本政府は危機感を強めている。ASEANで対ロ制裁を科すのはシンガポールのみで、対ロ包囲網の穴となりつつあるからだ。ロシアの国連人権理事会の理事国資格を停止した決議にはベトナム、ラオスが反対に回り、インドネシア、マレーシア、カンボジア、タイは棄権し、ロシアを孤立に追い込めない一因となっている。
ASEAN加盟国との2プラス2は、インドネシアに次いで2カ国目となる。
ロシアの国連人権理事国資格停止決議案を採択
国連総会は4月7日、緊急特別会合で国連人権理事会における理事国を務めるロシアの資格を停止する決議案を93カ国の賛成多数で可決した。中国、ロシア、北朝鮮など24カ国は反対票を投じ、インド、ブラジルなど58カ国は棄権した。
総会は、下部機関、人権理事会の理事国が重大かつ組織的な人権侵害を継続的に繰り返した場合、投票の3分の2の賛成多数で資格を停止できる。棄権は投票数に含まれない。
ロシアは2021年から3年間の任期で理事国を務めている。採択されたことで、ロシアは任期の半分以上を残して即時資格を失い、会合への参加や投票、決議案の提出などができなくなった。
今回の決議案採択により、初めて安全保障理事会の常任理事国が人権理事会の理事国資格を停止されたことになる。