生活保護申請11年ぶり増 20年度22万8081件 コロナで雇用悪化

厚生労働省の集計によると、2020年度1年間の生活保護申請件数が計22万8081件(速報値)に上り、前年度から5,039件(2.3%)増えたことが分かった。新型コロナウイルスの感染拡大が長引き、飲食・宿泊業などを中心に雇用情勢が悪化したことが影響した。生活保護申請が上昇に転じるのは、リーマン・ショック後の2009年度に過去最多の34万9,223件となって以来11年ぶり。
生活保護申請は長らく減少傾向が続き、2019年度は22万3,042件だったが、2020年春に新型コロナウイルス感染拡大により緊急事態宣言が初めて発令されたのを機に基調が変わった。2020年4月の申請件数は前年同月比24.9%増と大幅に増えた。
2021年3月の生活保護申請件数は2万2,839件となり、前年同月と比べて8.6%増えている。前年同月からからの増加は7カ月連続となり、増加幅をみると2020年9月は1.7%だったが、月ごとに少しずつ大きくなっている。

ミャンマー人の在留延長認める 就労も可能 緊急措置 上川法相

上川陽子法相は5月28日、ミャンマー国軍のクーデターによる情勢不安を理由に、日本在留の継続を希望するミャンマー人に対し、緊急措置として在留延長を認めると発表した。就労も可能とする。
出入国在留管理庁によると、2020年末時点で日本にいるミャンマー人は3万5,049人で、最多は技能実習生の1万3,963人。当面、技能実習などの在留資格の満了時に本人が希望すれば、法相が個々の事情に応じて日本での活動を指定する在留資格「特定活動」への切り替えを認める。期間は6カ月とするが、外国人の就労拡大を目的に2019年4月に新設された「特定技能」の取得を目指す場合は1年間とする。本国の情勢が改善しない場合は「特定活動」での在留の再延長を認める。
難民認定を求めて手続き中のミャンマー人(すでに在留資格を失った人を多く含む)も救済対象。2021年3月末時点で2,944人に上り、認定できない場合も特例で在留を認める方針。
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こども庁の創設「検討」”こどもまんなか”省庁横断で政策推進

自民党の「『こども・若者』輝く未来創造本部」(二階俊博本部長)が、6月の経済財政運営の指針「骨太の方針」に反映させるためにまとめた緊急決議の原案が5月27日、判明した。焦点となる「こども庁」について、子どもに関する政策を省庁横断で推進するため、新たな行政組織として「こども庁」の創設と担当閣僚の設置を検討するよう求めている。
原案では、児童生徒の自殺者増やいじめ問題の深刻化などを捉え、「こども・若者を取り巻く状況は深刻さを増している」と指摘。子どもの視点で政策を作る「こどもまんなか」の考え方を打ち出している。

「特定技能」で在留外国人2.25万人 1年で6倍 資格変更が増加

出入国在留管理庁のまとめによると、日本で働く外国人向けの「特定技能」で在留する人は、制度導入から2年となった2021年3月末時点で2万2,567人で、1年前の3,987人から6倍近くに増加した。新型コロナウイルス変異株に対する水際対策の強化とも相まって、海外から入国はできないものの、国内で「技能実習」から資格変更する人が増加したのが主な要因。
2万2,567人のうち技能実習の修了や、「留学」の資格で在留中に試験に合格したなど、国内に滞在したまま特定技能に資格変更したのは1万7,299人。一方、海外での試験に合格したり、技能実習修了後にいったん帰国したりし、海外からの入国時に特定技能の許可を得たのは5,268人。
資格の取得方法別では、全体の8割以上にあたる1万9,092人が技能実習修了者で、特定技能の試験合格者を大きく上回った。国籍・地域別では技能実習でも最多のベトナムが1万4,147人で、6割を超えた。
働いている業種別では、多い順に飲食料品製造業8,104人(全体の構成比35.9%)、農業3,359人(同14.9%)、建設業2,116人(同9.4%)、産業機械製造業1,937人(同8.6%)、介護1,705人(同7.6%)だった。
特定技能制度の運用は2019年4月からスタートした。人手不足が著しい農業、建設業など14業種で5年間働ける在留資格で、取得には国内外で実施される業種別の技能試験と日本語試験に合格するか、技能実習を3年間修了する必要がある。日本政府は当初5年間で最大約34万5,000人を見込んでいた。

20年の在留資格取り消し1,210人で過去最多 ベトナム58.8%

出入国在留管理庁のまとめによると、2020年1年間に在留資格を取り消された外国人は1,210人に上り、2019年よりさらに217人(21.9%)増加し、過去最多だった。
取り消された資格は「技能実習」が561人(全体の46.4%)で前年より225人、「留学」が524人(同43.3%)で前年より97人それぞれ増えた。「技能実習」「留学」の2つで89.7%を占めた。国籍・地域別ではベトナムが最多の711人(全体の58.8%)、次いで中国が162人(同13.4%)だった。ベトナム・中国は2020年末時点の在留外国人数の上位2カ国で、ベトナム人は「技能実習」の55.2%、中国人は「留学」の44.6%を占め、それぞれの在留資格で最も多かった。

妊娠・出産で外国人技能実習困難例 3年余で637件 厚労省調べ

厚生労働省の調べによると、外国人技能実習生の妊娠や出産で実習継続が困難になったとする例が発生、受け入れ先企業などからの届け出が出ていることが分かった。そうした事例は、実習生に対する人権侵害に罰則を設けた技能実習適正化法が施行された2017年11月から2020年12月の3年間余で合わせて637件に上るという。

商船三井 外国人材事業第1号案件始動 第1期生フィリピン19人

商船三井(本社:東京都港区)は5月13日、Magsaysay(マグサイサイ)グループと共同設立したMM EMPOWER CORP.(以下、MMエンパワー)による、フィリピン人材関連事業第1号案件が始動したと発表した。
MMエンパワーは、大阪ガスの協力会社各社がフィリピ人を配管工として、長期にわたり安定的に受け入れる仕組みづくりの支援を行う。第1期生は19人。勤務地域は関西エリア。具体的には在留資格の提案、現地送り出し機関および研修施設案内、最適な入国前教育(カスタマイズした日本語教育、配管教育)の検討などを行う。

住友生命G3社が「終活相談付き みんなの葬儀保険」発売

住友生命グループのアイアル少額短期保険(本社:東京都中央区)、アドバンスクリエイト(本社:大阪市)、燦ホールディングスグループのライフフォワード(本社:東京都港区)の3社は5月10日、共同で「終活相談付き みんなの葬儀保険」を5月17日から発売すると発表した。
契約した顧客にライフフォワードが、葬儀や相続など終活カウンセリングサービスを無償提供するなど、3社の強みを活かした付帯サービスの提供、マーケティング等の取り組みを推進していく。

コロナ患者の自宅療養4倍 福祉施設3.7倍 訪問診療に重い負担

変異株への置き換わりによる全国的な感染急拡大が続く新型コロナウイルス患者。ところが、コロナ病床に空きがないことから4月以降、福祉施設、宿泊施設、自宅などで療養している人が急増している。すでに入院できないまま、自宅や高齢者福祉施設で死亡するケースも相次いでおり、訪問診療の重要度が増している。
厚生労働省の集計では、5月5日時点の全国の療養者数は自宅2万8,823人、宿泊施設1万170人、福祉施設342人。4月7日時点に比べ自宅は4倍、宿泊施設は1.8倍、福祉施設は3.7倍にそれぞれ増えている。
こうした状況を受け、患者の自宅や高齢者施設を回る訪問診療の現場に重い負担がのし掛かっている。感染力の強い変異株の流行も加わって、容体が急変し、重症化するケースも少なくない。しかし、自宅や施設などで対応するには限界がある。それだけに、入院先が見つからなければ即、死が隣り合わせにある。訪問医のスキルと高い救命意識だけではどうしようもない。それがコロナの怖さだ。

ロングライフHD 中国・上海市に高齢者福祉事業で合弁設立

総合介護サービスを手掛けるロングライフホールディングス(本社:大阪市北区)は4月30日、グループのロングライフグローバルコンサルタントが、中国の思博人力資源管理諮詢(常州)有限公司との間で、上海市に高齢者福祉事業を手掛ける合弁会社を設立することで合意4月26日、協定調印式を執り行ったと発表した。同合弁会社は、上海エリアおよびその周辺地域における高齢者福祉事業コンサルティング業務の拠点となる。
同社が中国でこれまで推進してきた山東省青島市や遼寧省大連市における事業展開に加え、上海市でもサービスを提供することで、中国での事業拡大につなげていく。