米FDA エーザイの早期アルツハイマー病薬を承認

米食品医薬品局(FDA)は1月6日、エーザイと米バイオジェンが共同開発を進めるアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、承認申請を認めると発表した。
レカネマブは臨床試験で、認知機能に障害が出始めた早期の、脳内のアミロイドβが繊維状になる前に投与することで、症状の悪化スピードを緩やかにする効果があることを証明した。したがって、レカネマブの効果を最大限に活かすにはアルツハイマー病の早期発見がカギで、その検査法や手法がの開発が課題となる。

住友電工,三菱UFJ銀など CO2吸収技術商用化で協業

住友電気工業(本社:大阪市中央区、以下、住友電工)、三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、関西イノベーションセンターの4社は12月23日、住友電工が開発を進める新しいCCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)技術(特許出願中)を活用したソリューションの提供で協業していくことで基本合意したと発表した。
この協業の一環として、CO2吸収装置の実演とCO2を原料に含むセラミックスの展示商談会を開催する。

CPとトヨタ タイでの脱炭素で協業検討 水素製造へ 

Charoen Pokphand Group(CP)とトヨタ自動車は12月14日、タイにおけるカーボンニュートラルの実現に向けた協力を検討していくと発表した。具体的には①バイオガスを活用した水素製造②水素を活用した配送トラックのFCEV化③コネクティッド技術を活用した最適配送ルート提案等による物流効率化の領域で社会実装を検討していく。

京大 iPS細胞から「がん免疫療法」用免疫細胞作製

京都大学iPS細胞研究所の研究グループは12月13日、がんの免疫療法に使われる、人工的に強化された免疫細胞を、iPS細胞から作製することに成功したと発表した。グループではiPS細胞から効率的に免疫療法に使う免疫細胞を作製することで、低いコストで多くの患者に提供できるようになるとして、今後実用化に向けた研究を進める。

iPS細胞で加齢黄斑変性患者に網膜移植手術 神戸

神戸市立アイセンター病院の栗本康夫院長らのグループは12月11日、視野が欠けたり視力が落ちたりする加齢黄斑変性の50代女性患者の目に、iPS細胞からつくり出した網膜の細胞をヒモ状に加工して移植する臨床研究の手術を11月下旬に実施したと発表した。術後の経過は順調で、この女性はすでに退院しているという。
同グループでは1年間にわたって安全性に問題がないか経過をみるとともに、5年間かけてさらに49人に同手術を行い、安全性や有効性を確認するとしている。

日本製紙 CNF配合天然ゴムのサンプル提供開始

日本製紙(本社:東京都千代田区)は12月5日、繊維幅がシングルナノサイズのTEMPO酸化セルロースナノファイバー(CNF)を、同じく木材成分由来の天然ゴム中に均一分散することで、タイヤ用途で弾性率と燃費性能を両立させたゴムマスターバッチ「Cellenpia Elas(TM)(セレンピアエラス)(TM)」の開発に成功し、サンプル提供を開始したと発表した。セレンピアエラスは直接、各種ゴムとドライ混練することができ、ハンドリングよくゴム製品の物性を向上させることができるという。
CNFは、木を構成する繊維をナノレベルまで細かくほぐすことで生まれる最先端のバイオマス素材で、様々な分野・用途で用途開発が進められている。

積水化学,東京都 ペロブスカイト太陽電池の共同研究

積水化学は12月2日、東京都とフィルム型ペロブスカイト太陽電池の共同研究を開始すると発表した。2023年春から森ヶ崎水再生センター(所在地:東京都大田区)にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置して、発電量のモニタリング、腐食耐久性の確認などを行う。
シリコン系太陽電池が重量などによる設置場所の制限が課題となっている中、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金を活用し、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率のさらなる向上に向けた開発を進め、2025年の事業化を目指す。

早大チーム 100度台の低温でCO2をCOへ転換可能に

早稲田大学の研究チームは11月30日、従来700度以上が必要だった二酸化炭素(CO2)から一酸化炭素(CO)への化学的転換100度台という低温で実現可能にする新しい材料とプロセスを明らかにした。
研究グループはCO2+H2→CO+H2O の逆水性シフトを、150度程度の低温で高い反応率・高い選択性で進める新しい技術を検討。外部電場を印加した触媒反応がこの目的を実現し得ることを見出し、低温でより高い性能を実現し得る触媒並びにプロセスを探索してきた結果、ルテニウム金属微粒子をチタン酸ジルコニウムという安定な酸化物に担持した固体触媒が、このプロセスに非常に有効なことを見出した。
回収したCO2を原料として再生可能エネルギー由来の水素を利用して化学品などをつくり出すことができれば、CO2を循環利用することになり、化石資源消費を減らすことができる。今回明らかにした技術により、熱のロスを大幅に抑制しながら、再生可能エネルギーが余っているときに必要に応じてCO2を再資源化するプロセスが実現できる。
この研究成果は2022年11月29日(現地時間)にイギリス王位化学会の『EES Catalysis』のオンライン版で公開された。

英ロールス・ロイス 航空機向け水素エンジン試験に成功

英ロールス・ロイスは11月28日、水素で航空機エンジンを稼働させる試験に世界で初めて成功したと発表した。風力と潮力発電でつくられたグリーン水素を燃料としており、同社は「水素が将来のゼロ・カーボンの航空燃料になり得ることを示すための第一歩」としている。
試験は、英格安航空会社(LCC)大手、イージージェットと共同で英国防省の施設内で行われた。ロールス製AE2100−Aを改造したエンジンを、水素で動かした。

カニ殻から作物の免疫力引き出すオリゴ糖の合成に成功

東大などは11月25日、カニ殻の主成分キチンを分解し、植物の免疫力を引き出すオリゴ糖を効率的に合成することに成功したと発表した。農業でこのオリゴ糖を使用して農作物の免疫力を引き出すことにより、低農薬でも病気にかかりにくくなり、収穫量が増えることが期待される。この研究チームは東大のほか、北海道大学、東京理科大学、昭和電工の4者。