三菱重工業(本社:東京都千代田区)は9月29日、関西電力など電力大手4社と協力して新型原子炉、革新軽水炉「SRZ-1200」の開発を進めると発表した。新型は加圧水型軽水炉(PWR)で、既存の原発技術を改良し、次世代原子力発電所の中では実用化に最も近いとされる。自然災害やテロへの対策を強化し、2030年代半ばの実用化を目指す。電力4社は関西電力のほか、北海道電力、四国電力、九州電力。
デンヨー クボタの「水素専焼発電機」開発に着手
日立造船 中国で脱炭素型リン回収プラントが完成
日立造船(本社:大阪市住之江区)は9月21日、国際協力機構(JICA)中国事務所と中国科学技術部が共同で実施する21年度日中連携事業で、中国遼寧省瀋陽市で建設を進めていた農畜産廃棄物からのリン回収実証プラントが完成したと発表した。
同日中連携事業は、中国における「環境(省エネルギーを含む)」「医療」「防災」の課題解決に貢献できる技術を有する日系企業と中国側パートナーが協力し、実証実験などを通じて中国における産業化を目指すとともに、日系企業のビジネス展開の促進を目的とするもの。
日立造船は、畜ふんを炭化してリンを回収するためのエネルギーを自立型炭化システム「EFCaR(エフカル)システム」を活用した農畜産廃棄物処理の実証事業を2024年度まで行う。
今回の実証事業では処理量4.8万トン/日の実証設備を建設し、EFCaRシステムの個別効果の検証や将来的な事業化を念頭に置いた現地導入体制、サプライチェーン等の実現可能性の確認などを目指す。
塩野義 コロナ飲み薬で韓国企業とライセンス契約
塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は9月16日、開発を進めている新型コロナウイルス感染症の飲み薬について、中国企業との合弁企業、平安塩野義(香港)有限公司(本社:中国・香港)と韓国の製薬大手Ildong Pharmaceutical Co.,Ltd.(本社:韓国・ソウル、イルドン ファーマシューティカルス)との間で、韓国における新型コロナウイルスの飲み薬の緊急使用許可申請および政府購入交渉に関するサブライセンス契約を締結したと発表した。イルドン社は韓国政府との販売交渉も担い、同国向け製造を担当する可能性もある。
塩野義製薬は同飲み薬について、中国当局に承認に向けたデータを提出しているほか、米国にも近く最終段階の臨床試験を始める。
IHI SAFの合成技術でシンガポールISCE2と共同研究
日本製紙,三井化 セルロース配合コンポジット開発で連携
理研など光エネルギー再充電可能なサイボーグ昆虫開発
理化学研究所(理研)、早稲田大学、シンガポール南洋理工大学の国際共同研究グループは9月5日、光エネルギーで再充電可能な電源ユニットを含む電子部品を搭載したサイボーグ昆虫を開発したと発表した。昆虫の寿命が続く限り、電池切れを心配することなく、サイボーグ昆虫の長時間かつ長距離の活動が可能という。
今回同グループは厚さ4マイクロメートル(1マイクロメートルは1,000分の1ミリメートル)の柔軟な超薄型有機太陽電池を、接着剤領域と非接着剤領域を交互に配置する”飛び石構造”で昆虫の腹部背側に貼り付け、再充電と無線通信が可能なサイボーグ昆虫を実現。サイボーグ昆虫に実装した有機太陽電池モジュールは17.2ミリワットの出力を達成し、リチウムポリマー電池を充電し、無線移動制御モジュールを操作することができたとしている。
これらの研究は科学雑誌『npi Flexible Electronics』オンライン版(9月5日付)に掲載される。
三井化学.帝人 プラスチックのバイオマス化実現する製品展開へ
徳島文理大「ユーグレナ」の高速培養技術を開発
徳島文理大理工学部(所在地:香川県さぬき市)の研究グループは、微細藻類「ユーグレナ」に特殊な発光ダイオード(LED)光を照射することで持続的に高速培養できる技術を開発した。培養容器に通常の白色光に加え赤色から赤外光の特殊なLED光を当てると、ユーグレナが高速増殖モードに移行して細胞が高速で増えることが分かった。照射を止めても増殖モードは持続し、ユーグレナの細胞は従来の約2倍に増えたという。
ユーグレナ健康食品や化粧品の原料として知られているが、供給能力が現状ではネックとなっている。今回の新技術が実用化されれば、バイオジェット燃料の原料としても期待が高まる。同大は脱炭素につながる技術として今後、企業と組んで試験研究に取り組む考えだ。